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電子部品の王者・村田は攻めるのか抑えるのか、来年度の設備投資2500億円の中身

増産や合理化投資が過半を超える
電子部品の王者・村田は攻めるのか抑えるのか、来年度の設備投資2500億円の中身

村田製作所の村田恒夫会長

村田製作所の2020年度の設備投資額は、過去3年間より低い2000億―2500億円規模となる見通しだ。中長期の電子部品の需要増に備え、17―19年度は毎年約3000億円を投じて土地・建物のインフラ整備に比重を置いたが一段落し、平常値に戻す。20年度は既存建屋での増産や合理化投資が過半を超える。

海外拠点への投資割合は3割超となりそう。現状35%の海外生産比率を徐々に増し、長期的に50%まで高める考え。研究開発費は1000億円規模を継続する。

電子部品は車の自動運転や電動化、第5世代通信(5G)機器の普及などで需要拡大が予測される。村田製作所はスマートフォン1台当たり800個、自動車1台当たり8000個使う積層セラミックコンデンサー(MLCC)をはじめ、多数の電子部品で世界シェア首位。

MLCCや電極材料増産目的などで島根県や岡山県、中国、タイなど国内外10カ所ほどの生産・開発拠点でそれぞれ数十億―400億円規模の投資を並行し、新棟を相次ぎ立ち上げてきた。横浜市で建設中の拠点など、20年度にかかるものは一部あるが計画した新棟はおおむね完成。20年度は各地の増産、合理化、更新投資が主体となる。海外は中国やフィリピン、マレーシアなどで投資が増える。

同社は21年度売上高2兆円(18年度比27%増)が目標の3カ年中期経営計画と、25年度に世界ナンバーワン部品メーカーを目指す長期ビジョンを掲げる。現在は海外売上高比率90%に対し、海外生産比率35%で差がある。国内で生産開始がほとんどの新製品売上高比率40%(18年度は37%)の目標と、こなれてから海外で生産する方針は変えないが、市場アクセス、カバー率、収益性などを踏まえ、長期で段階的に海外生産比率を高める。

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日刊工業新聞2019年12月27日

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