ロボットと融合する工作機械、新しい「工場のカタチ」が見えてきた!

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DMG森精機はヒト共存型のロボット化を進める

産業を支える部品生産の現場では、鋳造や溶接、組み立てなどで自動化が進む一方、多品種少量生産も多い機械加工分野ではいまだ人手に頼る作業が多く残る。生産効率や品質への要求が高まり、人手不足も深刻化する中、工作機械メーカー各社は、工作機械とロボットの融合による段取りを含めた自動化・無人化の提案に力を入れている。自社工場で積極的にロボットの活用法を試し、新たな工場のあり方も示そうとしている。

工作機械メーカーは、ユーザーへの手本としてIoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)、デジタルツインなどの最新デジタル技術の活用による自社工場の高度化(スマート化)に取り組んでいる。ロボットと工作機械の融合はその基盤だ。

ファナックはロボット部品を720時間(1カ月間)連続で加工できる本社(山梨県忍野村)の第3機械加工工場で、夜間の操業を無人化した。同社のIoT基盤「フィールドシステム」やロボット、センサーなどを駆使し設備の稼働停止率を0・1%以下にした。加工対象物(ワーク)の搬送に加え、治具交換などの段取り替え作業や画像による全数検査も自動でできる。

ヤマザキマザックは主力の美濃加茂製作所(岐阜県美濃加茂市)の部品加工専用に再編した第二工場で、多品種少量生産の長時間無人稼働ライン「マザック・オート・フレックス・セル」を稼働した。自動化システムと最新デジタル技術を活用するスマートファクトリーのミニモデルだ。

複合加工機4台と多関節ロボット2台、48のパレットを収納するストッカーで構成する。第二工場に導入した無人フォークリフト(AGFL)が自動倉庫と連絡して、ワークや治具・工具を自動で搬入出する。組み立てを担う第一工場を含め同社初の部品用無線識別(RFID)も採用し生産性を高めた。

オークマは8月に可児工場(同可児市)で部品加工専用棟「ドリームサイト(DS)3」を本格稼働した。最大可搬重量1350キログラムのロボットや、工作機械の加工室に内蔵するロボット「アームロイド」を搭載した工作機械を多用する。自動倉庫との併用で週末などに最長72時間の連続無人稼働が可能。AIでロボットも含め稼働状況を分析し残業ゼロも目指す。

工作機械メーカーは製品とロボットの融合に向け、多様な製品を開発している。DMG森精機が2018年に投入した「マトリス」は機械本体をつなぐロボット制御システムでロボットプログラミングの知識がなくても操作画面でシステムの段取り替えができる。

搬送・計測機器など周辺装置もパッケージ化し、導入時間は従来の5分の1となる。移設が容易でシステム停止時間も短縮できる。機械本体や主軸の高さをそろえるなどマトリスやガントリーローダーと融合しやすい工作機械の投入も急ぐ。

協働型ロボット搭載の無人搬送車(AGV)「WH―AGV5」も提案する。走行レールなしで自律走行し、レーザーセンサーで人も検知して衝突を回避する。工場内物流に加え、ワークの工作機械や計測装置への着脱、完成品エリアへの搬送と広範な仕事を担う。

ヤマザキマザックはAI採用のコンピューター数値制御(CNC)装置を搭載し、多関節ロボットの併用を前提に自動化対応力を高めた複合加工機「インテグレックスi―H」を発売した。ワークや工具、チャック爪などのストッカーや囲いも統一規格とし「自動化セル」を提案する。

工作機械の加工室に内蔵するオークマのロボット「アームロイド」は「工作機械とロボットで面白いものができないか」(家城淳社長)との思いで開発した。ワークの投入・搬出に加え、切削液を噴射し切り粉除去や清掃をし、長尺ワークの支持もできる。始点・終点の指示だけでティーチングやプログラミングは不要。可搬重量を10キログラムと倍増した新タイプを追加、旋盤に加え複合加工機にも搭載し市場への定着を図る。

ジェイテクトは工作機械を高度化する固有技術群を「TAKTICA(タクティカ)」としてブランド化する戦略を打ち出した。ロボットの活用も重視。カムシャフト研削盤用の設置スペースをとらない壁掛け走行ロボット搬送システム、作業者の姿勢の自由度が高い搬送システムなども提案する。

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【キーワード・段取り替え】

工作機械でのワーク品種変更時の加工開始までの準備を指す。治具、工具、旋盤チャック爪などの交換から加工室内の清掃、設備の加工条件設定やテスト加工・設定修正を含む。ロボットの併用ではその駆動指示も必要。

機械加工では工作機械の高機能化が進む一方、段取り替えは人手に頼る部分がいまだ多い。多品種少量生産では特に段取り替えの頻度が多く、効率化が課題。人手不足が深刻化する中、働き方改革もあり、残業や休日出勤の削減は生産現場の喫緊の課題だ。工作機械メーカーは段取り替えの自動化による長時間連続無人運転の提案を強化している。

日刊工業新聞2019年12月18日

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