パナソニックとテスラの関係ビミョー、中国向けは電池供給なし
パナソニックは米テスラが中国で生産する電気自動車(EV)にパナソニック製の車載電池が採用されない見通しを明らかにした。パナソニックの津賀一宏社長が日刊工業新聞の取材に応じ、テスラは中国向けEVに「中国や韓国メーカーの電池を使うと判断していると思う」と話した。まずは両社が共同運営する米国電池工場の生産性向上を優先し、テスラ向け電池事業の2020年度営業黒字化を目指す。
テスラの上海工場ではEV「モデル3」を年15万台生産する計画で試作段階に入っている。津賀社長は「あくまでテスラが決めること」としているが、当面は米電池工場「ギガファクトリー」(ネバダ州)や、住之江工場(大阪市住之江区)からテスラの中国工場へ電池を供給しない方針だ。
パナソニックはテスラが中国で比較的航続距離の短いEVを多く生産すると見ている。ただ「当社の電池はロングレンジ(長距離)向けは圧倒的に強いが、ショートレンジ(短距離)は一番強いと言えない」(津賀社長)とし、強みを生かせて、収益も確保できる長距離向けを狙う。
パナソニックのテスラ向け電池事業は足元で単月度の営業黒字を達成しつつある。すでにパナソニックは11月時点でテスラ車向けに中国で電池工場を新設しない方針を示している。投資を抑えて米国における電池の生産性向上に集中し、20年度の営業黒字化を最優先に進める考えだ。
日刊工業新聞2019年12月17日