事業売却に和解…日立にとってハッピーがやって来た?
社会イノベーション事業の世界トップへアクセルを踏み込む
日立製作所は社会イノベーション事業の世界トップへアクセルを踏み込む。18日、半導体市況などに業績を左右されやすい国内中堅の日立化成を昭和電工へ、世界大手に規模で劣る画像診断機器事業を富士フイルムへそれぞれ売却すると発表した。国際競争力が高い事業の集合体を目指し、選択と集中の手を緩めない。
日立製作所はもともと2000年前後から需要変動が大きい事業の切り離しを進めてきた。半導体事業にはじまり、ハードディスク駆動装置(HDD)や中小型液晶パネルなどを売却・事業統合して本体から遠ざけた。日立化成の売却などもグループ再編の一環であり、その総仕上げに入ったといえる。
加えて、グループ再編の重要な判断基準は全社挙げて注力するIoT(モノのインターネット)共通基盤「ルマーダ」との親和性だ。電力や工場、ビル、交通など社会インフラがその代表格であり、“御三家”の日立金属や日立化成など素材系は比較的遠い存在に位置付けられる。
<関連記事>
●日立のシステムインテグレーターは生き残れるの?
三菱重工とは和解
三菱重工業と日立製作所は18日、南アフリカの火力発電所事業負担をめぐり争っていた問題で和解したと発表した。日立は共同出資会社「三菱日立パワーシステムズ(MHPS)」の株式35%を三菱重工へ引き渡すほか、2020年3月に債権分を差し引いた1300億円を三菱重工へ支払う。MHPSは三菱重工の完全子会社になり経営の自由度が増す。三菱重工は支払いや株式譲渡完了後に、日本商事仲裁協会の仲裁請求を取り下げる。
南アフリカの火力発電案件は日立が南アフリカの電力会社から受注したボイラ建設工事で、設計見直しなどで費用がかさむ一方、三菱重工と日立が14年にMHPSとして火力発電事業を統合したため、負担金額や割合をめぐって両社が対立していた。
日刊工業新聞2019年12月19日