韓国式でニッポンの造船が蘇る?

生き残りかけ大型再編進む

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今治造船は丸亀工場に新ドックを完成し建造能力を高めた

11月末、造船業界でビッグニュースが飛び出した。建造量で国内首位の今治造船(愛媛県今治市)と、同2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU、横浜市西区)が資本・業務提携。商船分野で営業や設計を手がける会社を共同で設立し、将来の生産効率化についても検討。具体案を2020年3月までに詰めるとしている。大手同士の提携が他社を巻き込んだ新しい再編の呼び水となるか―。

両社が手を組んだのは、中国や韓国の造船大手に対抗するのが狙いだ。中国は同国首位の中国船舶工業集団(CSSC)と同2位の中国船舶重工集団(CSIC)が11月に経営統合。韓国も同国最大手の現代重工が同3位の大宇造船海洋と経営統合を進める。統合後の建造力は中韓ともに、今治・JMU連合の2倍強に相当する。

規模はバラ積み貨物船などの連続建造に有利だ。商船は1隻数百億円以上する高価な買い物だけに、船主は船のコストに敏感。安値で同型船を大量受注し、建造を国内各所で振り分け、資材も一括調達すれば、低コストでシェアを奪える。

これは韓国造船業躍進の際に使われた手法だ。中国も人件費が安く資材を低コストで調達できる強みがある。高コスト体質の日本は環境規制対応や省エネルギー技術で強みを持つが中韓の追い上げで差は縮まっている。

今治造船はJMU以外にも三菱造船(横浜市西区)と液化天然ガス(LNG)船で協業する。三井E&Sホールディングス(HD)は中国揚子江船業(江蘇省)との合弁会社に軸足を移し、護衛艦などについては三菱造船と提携を模索。川崎重工業は中国合弁会社で新ドックを稼働した。

国内造船業界は今後、今治・JMUグループと海外建造グループに集約するとの見方が強い。造船所は長い歴史で地域と密接なつながりがある上、廃業や撤退で伝承が途切れたら「数十年は再起不可能」という装置産業でもある。各社が難しい選択を迫られている。

(取材・嶋田歩)

日刊工業新聞2019年12月11日

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