東大とソフトバンクがAI研究所を設立、10年で200億円投資
東京大学とソフトバンクは6日、人工知能(AI)の基礎研究と事業化を進める「Beyond(ビヨンド)AI研究所」を2020年に設立すると発表した。東大本郷キャンパス(東京都文京区)で会見したソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は「AI研究には資金がいる。事業化に結びつかないと人材投資や研究開発資金が環流しない。AIが仕事に結びつくエコシステムを構築したい」と語った。東大の五神真総長は「東大とソフトバンクが組むことで、社会に良いインパクトを与えたい」と強調した。
ソフトバンクとグループ会社が、研究者の人件費や施設・設備費など10年で200億円を支援する。研究者は150人規模。ソフトバンクのトップエンジニアである「テクニカルマイスター」約40人も派遣する。海外から著名AI研究者も招聘する。健康医療、公共・社会インフラ、製造業の領域で事業化を目指す。
研究所は2拠点。本郷キャンパスはAIの基盤技術研究や他の学術領域との融合を目指す基礎研究を手がける。ソフトバンクが20年度に本社を移転する竹芝新オフィス(同港区)では、社会や産業の課題解決にAIを活用する応用研究や事業化を行う。本郷は20年春、竹芝は同年冬に開設する。
国立情報学研究所が全国規模で構築・運用する情報通信ネットワーク「サイネット」に両拠点を接続し、研究から事業化まで一気通貫する体制を整える。経済産業省が新たに策定したコラボレイティブ・イノベーション・パートナーシップ(CIP)制度を活用する。企業と大学が共同で研究開発組織を立ち上げ、研究成果を円滑に会社化して事業を立ち上げられる。研究段階でのジョイントベンチャー設立が可能になる。起業・事業化のリターンを大学が次の研究教育投資に回せる。
日刊工業新聞2019年12月7日