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腕時計の販売は好調でも、業績で明暗が分かれたのはなぜ?

時計3社の2019年4―9月期連結決算が12日出そろい、セイコーホールディングス(HD)とカシオ計算機が増収営業増益、シチズン時計が減収営業減益だった。ただ、腕時計の完成品販売は、高級価格帯や人気ブランドを中心に各社とも好調を維持している。

シチズン時計は時計事業の営業利益が前年同期比37・4%減。アナログクオーツムーブメント(駆動装置)の販売が厳しく「回復が見通せない」(佐藤敏彦社長)。工作機械事業も反動減や設備投資の先送りで営業利益が同33・3%減。20年3月期業績予想は据え置いた。

カシオ計算機はコンシューマ部門が増収営業増益。「G―SHOCK」など中国市場の電子商取引(EC)向けが伸長。為替影響で20年3月期業績予想の売上高を下方修正したが「それ以外は予想通り」(樫尾和宏社長)としている。

セイコーHDは時計事業の営業利益が同42・8%増。ムーブメント販売は苦しい状況が続くが、国内外で完成品の販売が好調。20年3月期業績予想の営業利益も上方修正した。

完成品販売について、上期は消費増税前の若干の駆け込み需要があった。下期への影響について、シチズン時計の古川敏之取締役は「反動減の懸念は少ない」と見る。セイコーHDの中村吉伸社長は「年末商戦までに販売が回復するよう進めている」とした。

日刊工業新聞2019年11月12日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ムーブメント販売の苦戦はファッションウオッチなど普及価格帯市場の落ち込みが要因。生産合理化など各社どのような施策を展開するのか気になります。

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