周囲の明るさに目が慣れる仕組みが分かった

酵素が関与 阪大が解明

大阪大学蛋白質研究所の古川貴久教授と茶屋太郎准教授らは、周囲の明るさの変化に目が慣れる明暗順応における網膜視細胞の分子の仕組みを解明した。網膜の光の受容感度について、暗い場所で上げる働きをする桿体(かんたい)細胞の光受容感度を、たんぱく質の分解に関わる酵素が制御していることを突き止めた。加齢黄斑変性や網膜色素変性症など網膜変性疾患の治療薬開発につながる。

桿体細胞には、光の信号を伝達するたんぱく質「トランスデューシン」と、それと結合して光を感じ取れなくさせるたんぱく質が存在する。暗い場所では光を感じ取れなくさせるたんぱく質に、酵素が化学的な変化を起こし分解を促進する。

その結果、トランスデューシンが細胞の外側にある構造へ集まり、光を受けて情報を伝えやすくなる。一方、明るい場所では光を感じ取れなくさせるたんぱく質にリン酸が結合して分解されにくくなり、光への感度が下がる。

この仕組みは、明るい場所での網膜の光受容感度を下げる細胞には影響を与えない。酵素の働きを抑えることにより、明るい場所での視力を保ったまま、網膜の変性や老化を防ぐ医薬品の開発が期待できる。

日刊工業新聞2019年11月8日

関連する記事はこちら

特集