大手商社の4ー9月期業績、「資源」で明暗
大手商社7社の2019年4―9月期連結決算が出そろい、伊藤忠商事、三井物産、豊田通商の3社が当期増益を確保した。伊藤忠商事は非資源分野を中心に業績を伸ばした。三井物産は豪州鉄鉱石など、金属資源が堅調に推移。一方、双日は海外石炭事業の販売価格の下落が響くなど、明暗が分かれた。20年3月期見通しでは三菱商事、住友商事が下方修正した。
三菱商事は、原油デリバティブ取引関連の損失を計上したことなどが響いた。金属資源で豪州原料炭事業における生産コストの上昇や市況下落なども影響した。
伊藤忠商事は住生活で北米設備資材関連事業の採算が改善。金属では鉄鉱石価格の上昇も追い風となった。当期利益は前年同期比12・0%増の2890億円で、中間としては3期連続で過去最高となった。
三井物産は金属資源やエネルギー事業が好調で、景気減速の影響を受けた化学品や生活産業など、非資源分野をカバーした。
豊田通商は機械・エネルギー・プラントプロジェクト本部における関連会社株式売却益などにより、当期増益を確保した。
丸紅は前年同期に計上した発電事業の売却益などの反動などが響き、当期減益となった。石油・ガス開発事業の減損損失も影響した。
20年3月期の当期利益見通しでは、三菱商事が自動車関連事業などで巡航利益の減少が見込まれることなどから、従来予想の6000億円から5200億円に下方修正した。
住友商事はマダガスカルニッケル事業や豪州石炭事業が苦戦。20年3月期の当期利益見通しは従来予想の3400億円から3000億円に見直した。
日刊工業新聞2019年11月7日