NEC「アニーリングマシン」参戦の狙い

スパコン技術生かす

 NECは、金融ポートフォリオや材料研究などの大規模な組み合わせ最適化問題を高速で解くアニーリングマシン市場に参入する。ベクトル方式の独自プロセッサーを搭載したボード型コンピューターを用いて、従来手法では解けない複雑な社会課題の解決に挑む。量子現象を模したアルゴリズムをデジタル回路で動かすアニーリングマシンをめぐっては富士通や日立製作所が先陣を切り、東芝も追従している。NECの参戦で国産コンピューターの代表格が出そろう。

 NECのアニーリングマシンは、スーパーコンピューターで培ったベクトル型プロセッサーの計算パワーを活用する。組み合わせ最適化を高速化するイジングモデル(磁性体モデル)に対応したアルゴリズムを新たに開発し、ボード型ベクトルコンピューターで動かす。

 これまでボード型ベクトルコンピューターは、人工知能(AI)処理などを高速化するアクセラレーターとしての役割に重点を置いてきたが、アニーリングのシミュレーターとしても売り込む。

 ベクトルコンピューター1台で、10万量子ビット級の大規模な組み合わせ最適化問題を実用的な時間(実時間)内に解くことが可能。将来はシステム販売も見据えるが、まずは2020年上期(1−6月)中にPoC(概念実証)をベースとした受託サービスとして事業化する考え。

 NECは産業技術総合研究所と共同で23年ころをめどに、量子力学に基づく「超電導量子アニーリングマシン」の開発を進めている。だが、アニーリング市場はすでに立ち上りつつあり、先行する富士通は創薬や素材開発などでPoC商談を獲得している。NECも超電導量子アニーリングマシンの開発を待つ間に、ユーザーが抱える課題解決に応えることが得策と判断し、ベクトルコンピューターでの参戦を決めた。

日刊工業新聞2019年11月8日

  

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