事業間の連携が苦手な三菱電機、社長直轄で突破できる?
売上高5兆円超達成のカギ握る
三菱電機は、国内外で部門横断的な新事業創出を目指す社長直轄組織「事業開拓室」を設置した。人員は30人程度。各事業部門が持つ空調制御や入室管理、工場管理などの情報を集約し、データを活用した新たなソリューションを提案する。同社はグループ内で保有する技術や事業シナジー(相乗効果)の発揮拡大を通して2020年度に売上高5兆円以上を目指している。今回の新組織はその中心となる。
事業開拓室は独自のIoT(モノのインターネット)プラットフォーム(基盤)を構築し、各事業部門が抱えるデータを集約する。2―3年後の完成を目指す。
三菱電機はゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)や工場のスマート化など、データを活用した事業領域の拡大に注力している。
例えば食品工場の場合、空調制御や入室管理、工場管理といったそれぞれのシステムの情報を一元的に管理する基盤があることで、他社より優位にスマート化を提案できる。こうした案件を掘り起こし、事業の方向性を定めた後、新組織の人員を増やす考え。
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●EV部品まからロボットまで。老舗重電メーカーの華麗なる変身
山西健一郎社長が就任時から目標に掲げた4兆円(13年度見通し3兆9500億円)が見えてきた。次は5兆円に向けた計画に着手するという。さらなる成長に何が必要か。山西社長へのインタビュー。
―“ポスト4兆円”の計画は。
「各事業部が15年度まで出している数字を積み上げると、4兆5000億円近くまで見えている。5兆円については本社部門で議論を始めたところで、いずれ戦略を示す。成長には事業部間連携のソリューションビジネスが欠かせない」
―スマートコミュニティーなどが候補です。日本はコンセプト・イノベーションが海外勢に比べ得意ではありません。
「1社で丸ごと売ることはない。単品商売でもいいが、重要なのはコンセプトを考えて将来の拡張性を担保させること。うちはFAが強い。工場の拡張ノウハウをビルなどに広げる」
―連携は本社部門主導ですか。
「ある程度はそうだ。しかしどこかの事業部がリーダーシップを発揮しないと成功しない。三菱電機は昔から本社より各事業部が少し強い仕組み。本社が格上意識を持つとよくない。過去の半導体再編も本社の意向ではなく、事業部が独立を望んだ結果だ」
―どこかの事業部が他社と統合したいと要望してきたらどう判断しますか。
「プラスになればいいが、今、そう考えている事業部はゼロだと思う。100%ない」
―10の事業本部の利益水準に満足していますか。
「重電は8%、産業機器は10%の目標だが、それぞれさらに2%は伸ばせる。最大のカギは家電部門。9000億円と規模が一番大きい。そこの利益が上がれば全社でもっと強い事業体質になる。家電は国内を重視し過ぎた。空調だけでなく国内シェア45%の換気扇など海外で稼げる商品はある。全社の営業利益率目標(5%超)も低い。もっと上げる」
―防衛省などへの過大請求や自動車部品の価格カルテルが発生しコンプライアンス(法令順守)への意識に変化は。
「必要最低限の変化は起こした。もっと大きな意識レベルを上げる。特殊な事業や製品は人材も純粋培養されてしまう。『異種の知』を入れるために、入社5年以上からあらゆる層で人事交流をより活性化させる」
事業開拓室は独自のIoT(モノのインターネット)プラットフォーム(基盤)を構築し、各事業部門が抱えるデータを集約する。2―3年後の完成を目指す。
三菱電機はゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)や工場のスマート化など、データを活用した事業領域の拡大に注力している。
例えば食品工場の場合、空調制御や入室管理、工場管理といったそれぞれのシステムの情報を一元的に管理する基盤があることで、他社より優位にスマート化を提案できる。こうした案件を掘り起こし、事業の方向性を定めた後、新組織の人員を増やす考え。
日刊工業新聞2019年10月29日
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課題認識は前々社長から
山西健一郎社長が就任時から目標に掲げた4兆円(13年度見通し3兆9500億円)が見えてきた。次は5兆円に向けた計画に着手するという。さらなる成長に何が必要か。山西社長へのインタビュー。
―“ポスト4兆円”の計画は。
「各事業部が15年度まで出している数字を積み上げると、4兆5000億円近くまで見えている。5兆円については本社部門で議論を始めたところで、いずれ戦略を示す。成長には事業部間連携のソリューションビジネスが欠かせない」
―スマートコミュニティーなどが候補です。日本はコンセプト・イノベーションが海外勢に比べ得意ではありません。
「1社で丸ごと売ることはない。単品商売でもいいが、重要なのはコンセプトを考えて将来の拡張性を担保させること。うちはFAが強い。工場の拡張ノウハウをビルなどに広げる」
―連携は本社部門主導ですか。
「ある程度はそうだ。しかしどこかの事業部がリーダーシップを発揮しないと成功しない。三菱電機は昔から本社より各事業部が少し強い仕組み。本社が格上意識を持つとよくない。過去の半導体再編も本社の意向ではなく、事業部が独立を望んだ結果だ」
―どこかの事業部が他社と統合したいと要望してきたらどう判断しますか。
「プラスになればいいが、今、そう考えている事業部はゼロだと思う。100%ない」
―10の事業本部の利益水準に満足していますか。
「重電は8%、産業機器は10%の目標だが、それぞれさらに2%は伸ばせる。最大のカギは家電部門。9000億円と規模が一番大きい。そこの利益が上がれば全社でもっと強い事業体質になる。家電は国内を重視し過ぎた。空調だけでなく国内シェア45%の換気扇など海外で稼げる商品はある。全社の営業利益率目標(5%超)も低い。もっと上げる」
―防衛省などへの過大請求や自動車部品の価格カルテルが発生しコンプライアンス(法令順守)への意識に変化は。
「必要最低限の変化は起こした。もっと大きな意識レベルを上げる。特殊な事業や製品は人材も純粋培養されてしまう。『異種の知』を入れるために、入社5年以上からあらゆる層で人事交流をより活性化させる」
日刊工業新聞2013年11月6日