車載モーター・インバーター・減速機を一体化、老舗重電が中国で攻める
明電舎が新工場、電動化需要取り込む
明電舎は自動車駆動向けのモーターとインバーター、減速機を一体化した製品を生産する工場を中国に新設する。年産能力は15万―20万台で投資額は40億―50億円。2022年度をめどに標準製品として中国市場に投入する。小型化しつつ最大出力を高め、出力密度は業界トップクラスとした。明電舎が同様の一体化製品を投入するのは初めて。中国で急速に進む車の電動化に対応する。
工場は中国子会社が持つ敷地に建設する。減速機は外部企業から調達し、組み立てる。モーターの銅線に平角線を利用したほか、インバーターの配置を換えることで出力密度を従来製品比で60%向上させ、連続出力も100キロワットを維持した。これにより、同製品を搭載した電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)は安定した高速走行が可能になる。
明電舎は11月に名古屋事業所(愛知県清須市)でモーターとインバーターを一体化した製品を生産するが、中国ではさらなる一体化ニーズがあるとして減速機を含めた三位一体の製品投入を決めた。
中国では急速に電動化が進んでおり、現地の車メーカーの間では部品を一体化した標準製品の需要が高まっている。引き合いが多く「すべてには応えられない」(明電舎関係者)状況だ。
同社は20年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画で電動車分野に約200億円の成長投資を計画する。19年には中国子会社へ41億円増資し、モーターの工場を建設すると発表した。今回は中計外の投資で、同分野に攻勢をかける。
競合他社も一体化を進めており、独ボッシュは年内にもインバーターやモーターなどを一体化した車軸部品を中国で量産する。デンソーとアイシン精機も電動車用駆動モジュールを21年後半にも発売する予定。日本電産はモーターやインバーターだけでなく、ECU(電子制御ユニット)など制御関連の製品・技術を組み合わせることで一体化を拡大する方針だ。
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日刊工業新聞2019年10月23日