市場の健全な競争を…NTTグループの共同調達に不満の声

総務省が例外的に認可へ

報告は、共同調達によるコスト削減が通信網整備やグローバル展開の促進につながるとする(NTT本社)
 情報通信審議会(総務相の諮問機関)の特別委員会は、NTTグループの共同調達禁止ルールについて、公正競争を阻害しない措置を講じた上で例外的に認めることなどを盛り込んだ最終報告書案をまとめた。人口減で国内市場が縮小し、国内通信メーカーの国際競争力も低下する中、共同調達によるコスト削減で通信網への投資を促進し、各産業のデジタル変革につなげる。(編集委員・水嶋真人)

 NTT持ち株会社とNTT東日本、NTT西日本は1999年の再編時の公正競争条件などを理由に、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、NTTデータと共同で資材調達を行えない。

影響小さく


 ただ、かつては国内通信メーカーからの調達が主流だったが、近年は海外メーカーからの調達へシフト。99年当時よりも公正競争を確保する法令が整備された。NTTグループ全体の調達額に占めるNTT持ち株会社とNTT東西の割合も99年当時より大きく低下し、市場に与える影響も小さくなっている。

 このため、最終報告書案では「公正競争を阻害しない範囲で例外的に共同調達を認めれば調達コスト低減につながり、消費者への利益還元が期待できる」と指摘。グローバル展開や先端的な研究開発に向けた投資も促せるとした。

 NTTは通信ネットワークから端末まで光を使うことで膨大なデータを迅速処理する「IOWN(アイオン)」構想を中期的な成長戦略とする。こうした研究開発力の強化のほか、他社に光回線を卸す「光コラボ」の卸料金引き下げに向けNTTとNTT東西による共同調達を実現したい意向だ。

競合は不満の声


 一方、競合各社は不満の声を上げる。ソフトバンクは「国際競争力の強化には、優れた1社を国策として後押しするよりも、市場の健全な競争を通じて世界に立ち向かう環境整備として事業者間・国内外の公平性の確保が必要だ」と指摘。KDDIも「公正競争上の観点から十分な議論が必要」と表明した。

 最終報告書案ではNTTに対し、共同調達の実施方針や状況を公表する自主的な取り組みを行うことを求めた。総務省が公正競争への影響を検証し、NTTに共同調達の運用状況を定期的に報告する担保措置が必要だともしている。

 NTTは、海外でグループ各社が共通で購入する機器を一括調達する専門会社を18年に米国で設立。複数の海外IT企業と一元的に価格交渉し、取引を少しでも有利にすることで調達コストを削減している。国内でも共同調達が認められた場合、対象となる製品や調達コスト削減効果に注目が集まりそうだ。

2019年10月22日

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