NTTコムがローカル5G参入、スマート工場化支援の狙い

 NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は、第5世代通信(5G)を地域限定で利用するローカル(自営)5Gに参入する。デジタルデータの利活用に必要な全ての機能を一元的に利用できるデータ流通基盤の提供を始めており、2024年度までに同基盤で1000億円の売り上げを見込む。工場にローカル5G網を構築して収集したビッグデータ(大量データ)を同基盤で分析し、生産を効率化したい企業の需要を取り込む。(編集委員・水嶋真人)

地域の課題解決


 ローカル5Gは、地域の企業・自治体が自らの建物内や敷地内で柔軟に5G網を構築するシステム。NTTグループでは、NTT東日本とNTT西日本が、トラクターを自動運転して農作業を効率化するといった地域課題の解決に向け参入意向を示していた。

 一方、NTTコムのローカル5G事業の主要顧客は製造業となりそうだ。3日の自社展示会で囲み取材に応じたNTTコムの庄司哲也社長は「工場内のデータ流通にローカル5Gを活用したいという相談を受けている。全国で5Gを提供する携帯電話会社がカバーできない部分を補うものを20年までに形にしたい」と述べた。

20倍の高速性能


 従来比で最大20倍の高速性能や、低遅延、同時多数接続が可能なローカル5Gを工場内に構築すれば、さまざまな機器データを素早く安定的に収集・分析できる。NTTコムはデータ流通基盤「スマートデータプラットフォーム」により、データ収集・蓄積・管理分析に必要な機能を、企業の用途やニーズに合わせて柔軟に組み合わせて提供する。

全体の技能向上


 例えば、同基盤を通じて工場のベテラン作業員の視線や動きをデジタルデータ化して可視化すれば、複数の拠点にいる作業員全体の技能向上につながる。同データを人工知能(AI)に取り込んで生産ラインの作業ロボットに学習させ、同基盤で制御すれば「複雑な作業の自動化や無人化した生産ラインも可能になる」(庄司社長)。

 同サービスはファナック、富士通と進める工作機械業界標準のIT基盤の開発にも役立つ。工場にある、異なるメーカーの工作機械を同一基盤上で制御し、稼働データや保守情報などを確認できるようにする仕組みを20年4月にも提供する。

 同様の仕組みは化学や社会インフラ業界にも応用できる。5G時代を迎える中、NTTコムのスマートデータプラットフォームはスマートシティーの基盤となる可能性を秘める。

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日刊工業新聞2019年10月4日

  

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