「燃料電池×自動運転」のトラック、三菱ふそうが世界初公開
東京モーターショーで
三菱ふそうトラック・バスは24日に開幕する「第46回東京モーターショー」で、燃料電池小型トラック「ビジョンF―CELL」と、自動運転技術を搭載する大型トラック「スーパーグレート」を世界初公開する。
ビジョンF―CELLは、次世代のコンセプトモデルとして出展する。実用化時期は未定。スーパーグレートはハンドルの操作や加減速をシステムが担う「レベル2」の自動運転技術を搭載する。ブレーキやアクセル、ステアリングを効率的に制御し、ドライバーの負担軽減につなげる。近く発売する予定。
大型観光バス「エアロクィーン」や小型バス「ローザ」の2019年モデルも出展する。
三菱ふそうトラック・バスが2019年秋に発売する大型トラック「スーパーグレート」は、ハンドルの操作や加減速をシステムが担う「レベル2」の自動運転技術を搭載する。トラックでは国内初。親会社の独ダイムラーと開発した自動運転技術を生かし、安全機能を拡充する。商用車各社で自動運転技術の開発が進む中で、先んじて商品化し、今後も開発もリードする考えだ。
「まずお客さまの安全に重きを置いている」。三菱ふそうの恩田実開発本部エンタイヤービークル開発統括部長は、新型スーパーグレートの特長をこう強調する。12―16年に大型トラックが関係する死亡事故が日本で約1000件あったという。安全機能「アクティブ・ドライブ・アシスト(ADA)」などレベル2の技術を搭載し、「追突やすれ違いなど全体の36%を占める事故要因の低減に貢献できる」と恩田部長は期待する。
ADAはカメラやレーダーで車間距離や車線を検知するなどしてブレーキやアクセル、ステアリングを効率的に自動制御する。時速60キロメートル以上で走行中に運転手の意図しない車線の逸脱が起こると、ステアリングを制御して車両を車線内に戻す。運転手がハンドルに手を添えていない時間が30秒以上になると警報で知らせる。
衝突被害軽減ブレーキ「アクティブ・ブレーキ・アシスト5」も採用した。従来のレーダーに加えて、フロントガラスに搭載したカメラを組み合わせて歩行者を認識する機能を高めた。
三菱ふそうの木下正昭開発本部実験統括部メカトロニクス開発部マネージャーは「トラックは車幅が大きいため、前方の車線を予測しながら制御することが乗用車よりも重要になり、高い精度が必要だ」と指摘する。今回の自動運転システムの実現には、ダイムラーや三菱ふそうで実施した日米欧での数百万キロメートルにも及ぶ走行実験データが活用され、車間距離や車線などに関する制御の精度向上につなげた。
商用車の自動運転はドライバーの負担軽減につながり、早期の実用化が期待される技術で、国内の商用車各社で技術開発が進む。UDトラックスが日本通運などと組み、大型トラックで限られた区域を無人で走る自動運転「レベル4」の実証実験を8月に実施する。いすゞ自動車と日野自動車は自動運転システムのベースとなる高度道路交通システム(ITS)技術の共同開発を進めている。
三菱ふそうはレベル2での安全機能を拡充しつつ、レベル4の早期実用化を目指している。恩田部長は「(レベル4の実現は)他社より早くという姿勢は変わらない」と力を込める。
(文=山岸渉)
ビジョンF―CELLは、次世代のコンセプトモデルとして出展する。実用化時期は未定。スーパーグレートはハンドルの操作や加減速をシステムが担う「レベル2」の自動運転技術を搭載する。ブレーキやアクセル、ステアリングを効率的に制御し、ドライバーの負担軽減につなげる。近く発売する予定。
大型観光バス「エアロクィーン」や小型バス「ローザ」の2019年モデルも出展する。
日刊工業新聞2019年10月16日
「レベル2」商品化で先陣
三菱ふそうトラック・バスが2019年秋に発売する大型トラック「スーパーグレート」は、ハンドルの操作や加減速をシステムが担う「レベル2」の自動運転技術を搭載する。トラックでは国内初。親会社の独ダイムラーと開発した自動運転技術を生かし、安全機能を拡充する。商用車各社で自動運転技術の開発が進む中で、先んじて商品化し、今後も開発もリードする考えだ。
「まずお客さまの安全に重きを置いている」。三菱ふそうの恩田実開発本部エンタイヤービークル開発統括部長は、新型スーパーグレートの特長をこう強調する。12―16年に大型トラックが関係する死亡事故が日本で約1000件あったという。安全機能「アクティブ・ドライブ・アシスト(ADA)」などレベル2の技術を搭載し、「追突やすれ違いなど全体の36%を占める事故要因の低減に貢献できる」と恩田部長は期待する。
ADAはカメラやレーダーで車間距離や車線を検知するなどしてブレーキやアクセル、ステアリングを効率的に自動制御する。時速60キロメートル以上で走行中に運転手の意図しない車線の逸脱が起こると、ステアリングを制御して車両を車線内に戻す。運転手がハンドルに手を添えていない時間が30秒以上になると警報で知らせる。
衝突被害軽減ブレーキ「アクティブ・ブレーキ・アシスト5」も採用した。従来のレーダーに加えて、フロントガラスに搭載したカメラを組み合わせて歩行者を認識する機能を高めた。
三菱ふそうの木下正昭開発本部実験統括部メカトロニクス開発部マネージャーは「トラックは車幅が大きいため、前方の車線を予測しながら制御することが乗用車よりも重要になり、高い精度が必要だ」と指摘する。今回の自動運転システムの実現には、ダイムラーや三菱ふそうで実施した日米欧での数百万キロメートルにも及ぶ走行実験データが活用され、車間距離や車線などに関する制御の精度向上につなげた。
商用車の自動運転はドライバーの負担軽減につながり、早期の実用化が期待される技術で、国内の商用車各社で技術開発が進む。UDトラックスが日本通運などと組み、大型トラックで限られた区域を無人で走る自動運転「レベル4」の実証実験を8月に実施する。いすゞ自動車と日野自動車は自動運転システムのベースとなる高度道路交通システム(ITS)技術の共同開発を進めている。
三菱ふそうはレベル2での安全機能を拡充しつつ、レベル4の早期実用化を目指している。恩田部長は「(レベル4の実現は)他社より早くという姿勢は変わらない」と力を込める。
(文=山岸渉)
日刊工業新聞2019年7月29日