「近鉄・奈良」、インバウンド先進駅へAIを使いまくる

ARを使ったルート案内など実証

 日本を代表する観光地として名をはせる奈良市。その中心市街地に近畿日本鉄道の近鉄奈良駅がある。周辺には、奈良公園を筆頭に観光施設や官公庁などの公共施設が多く点在する。近鉄は訪日外国人(インバウンド)をはじめ、国内外のあらゆる層が鉄道利用による観光が円滑になることを目指している。

 奈良市観光入込客数調査によると、2018年に同市を訪れた観光客は前年比約71万人増の1702万5000人。一方、同市を訪れるインバウンドも18年は前年比約3割増で過去最高の265万1000人を記録した。

 観光をけん引するインバウンドの存在感は増す。近鉄は今後の労働力人口減などを見据え、外国人対応など専門スタッフを省人化しても案内サービスを維持できるか検討する。

 そのため年齢や言語を問わず、すべての乗客に鉄道サービスを円滑に提供する仕組みとして「シームレス案内」を掲げる。人工知能(AI)を活用した観光案内サービスの実用化を目指す。

 第1弾でスマートフォンと、AIを活用した対話システムによる経路案内を受けられる「奈良ガイドボット」の実証実験を18年7月末から8月上旬に実施した。これを皮切りに、拡張現実(AR)を使ったルート案内などの実証実験を積み重ねていく。

 近鉄総合企画本部総合研究所主任研究員の伊東剛志氏は「技術面の検証は進んできた」と手応えを語る。一方、駅ホーム上での活用は、他の乗客や車両と接触する危険性が無いことの検証が必要なため「他の研究機関とも連携し取り組む方針」(伊東氏)だ。

 将来的に自社路線だけでなく、他社路線や、バスなど他の交通機関にも広げた「シームレス」案内サービスに広げる構想も温める。

【駅の概要】
近鉄奈良線の主要駅。18年度の1日の平均乗降者数は約5万5000人。近鉄では7番目に多い。インバウンド専用の交通系ICカード「関西ワンパス」の利用分析によると、近鉄線で、インバウンドの利用者が最も多い駅となっている。

<関連記事>
大阪駅のホームとスターバックスの店内、意外な共通性

日刊工業新聞2019年10月3日

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。