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記念ポスターに社員の子どもを登用…SI企業が模索する企業と家族の新しい関係

設立50周年を盛り上げる
 SCSKが社員や家族の参加型企画を展開し、設立50周年を盛り上げている。周年ロゴのデザインを社員から募集したほか、記念ポスターには社員の家族を登用した。残業を減らしても給与が減らない「働き方改革」や社員の減量を支援する「健康経営」などに力を入れる同社。50周年の節目を迎え、社員と企業の新しい関係を模索している。

 同社では2018年11月-19年1月までグループを含めた社員や家族に50周年のロゴを募集。総勢304件の応募があった。選出も社員による投票を実施。全投票数の約四分の1にあたる1426票を獲得したのはクラウドサービス部の岡部倫未さん。業務でシステムの使いやすさを追求する業務に就いており「日頃の経験を生かし、ITをわかりやすく表現した」と口角を上げる。

 同社の最寄り駅などに掲載する周年用のポスターも3歳から11歳の16人の社員の子どもが担当。グローバル営業部の宮島陽子さんは11歳の長男と4歳の二男と、購買・業務グループの水野基未さんはモデルの仕事に興味を持つ8歳の長女と参加した。2者とも「家族で一つのプロジェクトに関われ記念になった」と声をそろえた。

 ポスターには同社のAR(拡張現実)アプリケーション「toAR(トール)」を活用した仕掛けも搭載。スマートフォンをかざずとアニメーションが浮き上がる。製造・通信システム事業部門の坪田賢治さんが手がけた。「SCSKといえばXR(仮想現実などの総称)と言えるように事業に取り組みたい」と今後の展望を話す。

 目指すは次の100年。「社員や家族があっての会社。社員にとって価値のある会社にしていきたい」(同社広報部)という。

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日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
7-8月の夏休みの期間を活用し、家族の会社訪問イベントを企画する企業も増えている。だが、多くの子ども達にとって両親が毎朝通う「会社」なるものの正体はつかめない。子どもたちだけでなく、大人も「配偶者の会社に行ったことがない」という人も多いのではないだろうか。家族と会社の距離は遠いままでも良いという現状を打破するSCSKの取り組みは先進的だ。「社員と社員の家族があっての会社」と断言することは簡単ではない。日立システムズでは家族にがん検診の受診を促す手紙を郵送するほか、日本ユニシスでは配偶者が他社でも参加できる産休に関するワークショップを開催している。会社と家族の関係向上を模索する取り組みは始まっている。(日刊工業新聞社・川口拓洋)

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