ロボ活用のSI人材確保せよ、中小の採用活動に独自色

地域の高校で実習授業など

 ロボット導入から活用までを支援する中小のシステムインテグレーター(SI)が、学生の採用活動で独自色を出している。産業用ロボットの教育拠点を使って学生向けセミナーを開いたり、地域の高校で実習授業を開いたりしている。人手不足の解消や生産性向上のためのロボット導入にSIの果たす役割は大きいが、若手人材を確保できない課題がある。解決に向けた取り組みを追った。

 高丸工業(兵庫県西宮市)は、産業用ロボットの安全教育や操作講習を行う独自施設「ロボットテクニカルセンター」を本社などで運営する。ロボット導入を検討する製造業などに向けた講座の一方、2007年から地域の学生も受け入れる。

 高丸正社長は「ロボットを扱う人材の裾野を学生にも広げ、当社への就職を希望するきっかけにしたい」と狙いを説明する。「実践的な操作を学び、楽しいと言う学生が多い」と手応えをつかむ。こうした実習を通じ、毎年1―2人の新卒採用につなげている。

信頼関係を構築


 工作機械を販売する宮脇機械プラント(同明石市)は18年8月、本社に産業用ロボットや周辺装置の展示室を開いた。展示室を機械やロボットの販売につなげるほか、地元の工業高等専門学校(高専)向けの課外実習にも活用を始めた。

 実習は高専出身の社員を中心にロボットと加工機械を連動する実演や自社の業務内容を紹介する。取り組みの初年度は残念ながら、直接の採用には結びつかなかった。それでも岡本淳社長は「今後も地道に学生の受け入れを続け、採用を増やしたい」と意欲を見せる。高専にロボットを寄贈するなど信頼関係の構築を続ける考えだ。

社員が講師


 iCOM技研(同小野市)は制御盤設計・製作が主力だが、17年10月から協働ロボットの取り扱いを始めた。設計技術を強みに事業拡大を図るが、「若手の採用難が続いている」(山口知彦社長)のが課題だ。

 そこで、17年度から地元の工業高校で同校出身の社員らが産業用ロボットを用いた出前授業を始めた。18年度の授業は進路決定前の2年生を対象に、ロボットを使ったゲームを実施した。同校教諭は「生徒の地元企業への就職を後押しし、地域貢献につなげたい」と出前授業を歓迎する。

 学生向けの講座や出前授業は社員と学生の間に親近感を生みやすく、通常の採用活動で伝えきれない業務の面白さや、会社の雰囲気まで伝えられる利点もある。各社の取り組みは企業と地域のつながりを深め、企業の事業拡大や学校の地域貢献につながる好循環を生む支えとなりつつある。
(文=神戸・中野恵美子)

日刊工業新聞2019年4月12日

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。