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「経済人は結束が強まった」逆風下の日韓関係、財界同士は連携模索

日韓経済人会議が閉幕
 日本と韓国の経営者らが一堂に会する日韓経済人会議は25日、民間の立場で日韓関係強化を目指す共同声明を採択し閉幕した。戦後最悪とも言われる日韓関係の修復については「両国政府の対話の促進により新たな日韓関係の地平が拓(ひら)かれるための適切な措置が講じられることを強く要望する」との文言を盛り込んだ。経済分野の関係深化には政治・外交分野などでの関係修復が必要との認識は一致した形だが、道筋は見えず先行きは不透明なままだ。(取材・栗下直也)

 共同声明には第三国における協業や人材・文化の交流、少子高齢化をはじめとする共通の社会課題解決などを課題に挙げ、連携を深める方針を示した。

 焦点となった日韓関係の関係改善に向けては「これまで発展させてきた経済交流の紐帯(ちゅうたい)が切り離されてはならないとの信念を確認した」と言及した。その上で、経済界の役割として「民間の立場で経済・人材・文化交流を通じて、両国経済界の信頼関係と両国民のスムーズな往来が醸成されるよう活動していかなければならないとの決意に至った」と記した。

 閉幕後に開いた記者会見で日韓経済協会の佐々木幹夫会長(三菱商事特別顧問)は「(日韓関係は悪化の一途だが)経済人は一層結束が強まったのでは」と会議の意義を説いた。一方、政治と経済の距離が浮き彫りにもなった。韓日経済協会の金鈗(キム・ユン)会長は「(政治に)経済人が直接関与するのはどういう場合であれ難しい」と述べた。

 佐々木会長は「(会議の成果を)日本政府に説明する」とし、「にらみ合った状態は好ましくない。感情的にならず冷静に対話すべきだ」と語った。
日刊工業新聞2019年9月26日(政治・経済)

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