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100周年の「カルピス」を五感で楽しめる場所

「カルピス」みらいのミュージアム(群馬県館林市)
100周年の「カルピス」を五感で楽しめる場所

エントランスに設置した高さ約4メートルのオブジェ

 日本初の乳酸菌飲料として、1919年7月に発売された「カルピス」。100周年という節目にアサヒ飲料が群馬工場内に開設した「『カルピス』みらいのミュージアム」は、誕生の背景や製造工程を紹介する施設だ。10月1日からの一般公開に先駆け、地域住民らを対象とする見学ツアーを受け入れ始めている。

 水玉模様のパッケージ、独特の香りと味わい―。商品名を聞いただけでこれらのイメージがすぐに思い浮かぶほど、カルピスはあらゆる世代に広く浸透しているロングセラー商品だ。

 一方で、原料に生乳を使っていることや2度の発酵を経て作られていることなどは意外と知られていない。ミュージアム開設には、カルピスに対する理解度を深め、親近感をさらに高めてもらう狙いがある。

 施設はオープンスペースや複数の部屋で構成。「どこで何を伝えるか。区切ることで分かりやすくなるように工夫した」(アサヒ飲料コーポレートコミュニケーション部コミュニケーション推進グループの白土久美子課長)。プロジェクションマッピングなどさまざまな映像技術を駆使しており、五感で楽しむことにも重点を置いている。

 オープンスペースでは、これまでの商品パッケージや広告を展示しており、100年の歴史をたどることが可能だ

 例えば、「はじまりのへや」と名付けた空間。カルピス生みの親である三島海雲氏が旅先の内モンゴル地区で発酵乳に出会い、後に開発のヒントになったエピソードをアニメーションで上映する。

 発酵の特徴を壁面に投影した映像で紹介する円形状のスペース「発酵のへや」の演出もユニークだ。壁面には二つの穴を設置しており、顔を近づけると甘酸っぱい香りがほのかに漂い、まるでカルピスの製造タンクの中にいるかのような感覚を体験できる。

 ミュージアムに併設した試飲スペース「『カルピス』ラボ」では、その場でカルピスの水割りや炭酸割りを味わえる。メニューの拡充も検討中で、さまざまな飲み方・楽しみ方の提案により、ファン層をさらに広げる効果も期待できそうだ。

オープンスペースでは、これまでの商品パッケージや広告を展示している

【メモ】▽開館時間=9時―16時半▽入場料=無料(事前予約制)▽最寄り駅=東武伊勢崎線館林駅からタクシーで約10分、東武佐野線
渡瀬駅から徒歩約15分▽住所=群馬県館林市大新田町166▽電話番号=0276・74・8593
日刊工業新聞2019年9月20日

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