車載ディスプレー需要を掴め、ガラス大手が乗る“CASEの波”

生産拠点を新設・拡充など

 CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる自動車のトレンドの波がガラス業界にも押し寄せている。車載ディスプレーの大型・複雑形状・高機能化が見込まれると同時に、大型化に伴う安全設計も要求される中、大手ガラスメーカーはこれまで自動車用ガラスを手がけてきた設計ノウハウを生かし、次世代の車載用ディスプレー向け開発にしのぎをけずる。中国や米国に生産拠点を新設・拡充するなど、グローバルなサプライチェーン体制を敷くことで、車載用ディスプレー事業の強化に乗り出している。(文=山下絵梨)

中国に新工場


 AGCは中国江蘇省の蘇州工業園区に車載ディスプレー工場を新たに建設する。2021年10―12月期をめどに稼働し、既に受注が決定している複数の車種向けに22年に販売を始める。新工場には光学薄膜コーティングや装飾印刷、複雑曲面の一体成型まで最先端技術を用いた生産ラインを設置する。同社は「今回の新拠点設置によって、既存の国内2拠点に加え、第3の生産拠点を保有できる。高品質な製品をグローバルにお客さまに提供する体制が整う」と意気込む。

 米コーニングも今年7月に中国安徽省の合肥新站ハイテク産業開発区に車載インテリアガラス量産工場を開設し、世界中の自動車メーカーに安定して供給できる体制を整えた。マイケル・クニゴニス ヴァイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーは「当社のソリューションは、自動車設計者が思い描く、より多くのガラスやより多様な形状、より多くの機能を備えた次世代の車載インテリアの実現に貢献する」と力を込める。

 日本板硝子は17年に米国ケンタッキー州のバーセールズの自動車用ガラス工場に750万ドル(約8億円)を投じ、フロントガラス(合わせガラス)製造用に最新の高精度プレス(APBL)設備を導入した。高精度プレス工法は、複雑形状で面精度の高いフロントガラス製造のために開発された同社の独自技術で、人気が高まるヘッド・アップ・ディスプレー(HUD)に対応するフロントガラス製造の中核技術となる。

市場拡大を予想


 車載ディスプレー市場は今後も拡大が予想される。富士経済(東京都中央区)によると、車載ディスプレーの世界市場は、18年見込みの4808億円に対し、22年に7184億円の市場規模となると予測する。特に曲面ディスプレーや異形ディスプレーの需要が拡大する見通し。ガラス各社は量産体制を早期に確立して世界的な需要増に備える構えだ。

日刊工業新聞2019年9月20日

  

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