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低稼働の脱却難しく…日産がインドネシア「第1工場」を閉鎖

生産合理化を加速
低稼働の脱却難しく…日産がインドネシア「第1工場」を閉鎖

インドネシア第1工場で生産していたSUV「エクストレイル」

 日産自動車がインドネシア第1工場を閉鎖したことが18日までに分かった。同国で2カ所ある工場の一つ。ブランド力が上がらず同国での販売不振が続く中、低稼働からの脱却は難しいと判断した。日産は経営再建の一環で2022年度までに世界の年産能力を1割弱減の660万台に縮小する計画。西川広人氏は16日に社長兼最高経営責任者(CEO)を辞任したが、日産幹部は「事業改革に変更はない」としており、生産合理化を加速する。

 閉鎖したインドネシア第1工場は、90年代半ばに稼働し多目的車(MPV)やスポーツ多目的車(SUV)を生産してきた。年産能力10万台だったが、直近の生産車種はSUV「エクストレイル」のみで数量もわずかだった。

 日産は計14拠点で生産合理化を実施する計画を7月に示した。インドネシアも対象に入っており、計画公表時は「1ラインを止めている」と説明していた。第2工場は存続する方向で検討し、2工場で計830人を削減する計画は変えない。

 14年に第2工場が稼働し、同国での日産の年産能力は25万台になった。ただ「ニッサン」、新興国向け「ダットサン」ともにブランド力が上がらず、18年の販売台数は前年比3割減の計約1万7000台の低水準。また同国の自動車市場は悪化しており、19年1―7月の累計販売は前年同期比14%減の約57万台に落ち込んだ。事業環境は厳しく、日産は第1工場の稼働率向上は難しいと判断した。

 日産では前会長カルロス・ゴーン被告が主導した中期経営計画(11―16年度)「パワー88」中に投資した新興国の工場が特に低稼働率に苦しむ。合理化計画を早期に具体化し、数量規模から質重視の経営への転換を急ぐ。

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日刊工業新聞2019年9月19日

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