炭素量多い鋼材、短時間で簡単に接合する技術を阪大が開発 

ジュール熱大荷重接合法

 大阪大学接合科学研究所の藤井英俊教授らは、材料に圧力をかけながら電気を流し、あらゆる鉄鋼材料を接合できる「ジュール熱大荷重接合法」を新たに開発した。従来、溶接が困難だった炭素量の多い鉄鋼材料でも1―2秒と短時間で接合が可能。材料を溶かさず接合できる摩擦撹拌接合と比べても、専用工具が不要のため低コストになる。新接合技術は自動車や電車、造船、原子力、社会基盤分野の構造物などへ用途拡大が見込まれる。

 同技術は、高い圧力をかけた状態で電気を流すことで溶接に比べて低温で接合する界面が溶けて変形し、接合が完了する。金属組織が変化しない700度C以下で接合でき、割れなど不具合を防ぐ。接合に必要な温度は圧力に応じて決定でき、高温に伴う組織の変形が起きない状態を選んで接合できる。

 溶けて性質が変化した材料は圧力で外部に押し出され、材料全体は熱や圧力による性質の変化がない。接合部を含めて材料本来の高い強度を保てるため、鉄道のレールの接合など負荷のかかる用途から需要を見込む。

 炭素の含有量が多い鉄鋼材料は低価格で強度が高いが溶接が難しく、従来は鉄鋼材料製造時に炭素含有比率を0・15%までに抑える必要があった。同技術を使えば炭素の除去量が少なくすむため、結果的に二酸化炭素排出抑制にもつながる。

 一方、摩擦撹拌接合も炭素量が多くても対応できるが、硬い材料との摩擦により消耗品となる回転工具の寿命が短く、コストが高くなる課題があった。

 同技術は圧力と温度を計算すれば、一般的な鉄鋼材料やアルミニウムなどさまざまな金属にも適用できる。

 今回の研究成果は17―19日に東北大学で開かれる溶接学会秋季全国大会で発表される。

日刊工業新聞2019年9月18日(総合1)

  

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