サビをもってサビを制す!注目の新防食塗料に迫る

京都マテリアルズ、鉄鋼材料の耐食性向上

インフラで注目


 「毒をもって毒を制す」のことわざのごとく“サビをもってサビを制す”塗料。この技術を開発したのが京都マテリアルズだ。大学や研究機関の知見をもとに、市場ニーズに合う製品開発を進めている。同社が手がける、材料の科学的特性を生かして腐食の進行を抑える塗料「パティーナロック」は、構造物の長寿命化を求める声にも合致し、インフラ関係の企業を中心に注目を浴びている。

 本社は京都大学桂キャンパス(京都市西京区)内に構える。鋼材の耐食性を高める塗料などの製品開発を行うほか、セラミックスなどといった難加工材向けの「超硬合金精密金型」も製造している。

工学研究実用化


 同社は「工学研究を実用化することに重きを置く」(山下正人社長)のが基本方針。2012年に大学教員の経験者4人が中心となり会社を立ち上げた。研究のバックグラウンドが材料分野だったこと、そして「自分たちが研究してきたことを世の中に広めたい」という志を共に抱いていた。

 山下社長も住友金属工業(現日本製鉄)を経て、兵庫県立大学工学研究科准教授だったという経歴の持ち主。サビを活用した防食塗料の研究を続ける中、「実用技術に持っていきたい」という考えが強くなった。13年には研究をもとにパティーナロックを発売した。

産学で連携


 そもそも鉄が酸化する(サビる)のは自然界に帰ろうとしていること。通常の防食塗料は鉄表面を塗膜で覆い、腐食環境を遮断して、サビを抑える。ただ塗膜に小さなキズが生じると、そこからサビが進行し、塗膜の下の見えない部分にも腐食が広がる場合がある。

 パティーナロックの特徴はサビを防ぐのではなく、味方にした点だ。あえて鉄表面を酸化させ、「それ以上(表面より下を)腐食させないようにした」(山下社長)。自然の化学反応を利用したことにより、一般的な防食塗料と比べても耐久性が向上し、メンテナンスコストも安い。

 山下社長は企業、大学、そしてベンチャーの社長と、違った世界を歩いてきた。研究と事業をつなぐことは難しいことも実感した。しかし今は産学連携も大きな広がりを見せている。パティーナロックも長瀬産業とライセンス契約を結び生産や販売を委託している。「市場投入したばかりの製品。是非世の中で使ってもらいたい」と力を込める。(京都・日下宗大)

京都マテリアルズ社長 山下正人氏


■企業プロフィル
▽所在地=京都市西京区御陵大原1の39京大桂ベンチャープラザ南館2102
▽売上高=非公表
▽設立=12年(平24)2月

  

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