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女性のキャリア再構築、ホテル業への就職支援が始まった

Waris、経産省の実証事業で実施
女性のキャリア再構築、ホテル業への就職支援が始まった

ホテルや観光サービス業への就職を後押しするプログラムのキックオフで7人が顔をそろえた

 結婚や出産を機に仕事を辞め、子育てに専念してきた女性のキャリア再構築の第一歩として、成長著しいホテルや観光サービス業への就職を後押しする取り組みが始まっている。女性向けの人材紹介を手がけるWaris(東京都港区)が経済産業省の実証事業として実施するプログラムで、再就職に必要な知識の習得やキャリアカウンセリングを経て、インターンシップとして実際に働く機会も提供する。参加者らは「新たなスタートを切りたい」と意欲を示している。

 11月中旬-。プログラムのキックオフに顔をそろえた7名はいずれも40代から50代。仕事を離れて10年から20年のブランクがあり、中には9回にも上る夫の転勤の度にキャリアが途切れてきたという人も。子どもに手がかからなくなり、一様に「これからの人生をどう生きるか」漠然と思い悩み始めたタイミングと打ち明ける。

 一方で、訪日外国人観光客の増加に加え東京五輪・パラリンピックをはじめとするビッグイベントを控えるホテル業界にとって、即戦力人材の獲得は喫緊の課題だ。しかし、今回のプログラムで目指すのは、安価な代替可能な労働力としての再就職ではない。ブランクのある主婦層が社会の第一線に踏み出す足がかりとして、ホテル業界への就職を後押し。実践的な経験を積むことでキャリアアップする姿を描いている。

 参加者のひとりAさんは、20年前に大卒で大手外資系ホテルに入社した経歴の持ち主。しかし、就職氷河期に社会人としての一歩を踏み出した当時と経済情勢が様変わりしているがゆえに「逆に不安だ」と話す。プログラムでは、再就職に必要な知識や心構えにとどまらず、市場動向や業界内での職種、これらを今後の自身のスキルアップにどうつなげるかのかといったキャリア形成の観点から「学び直し」を後押しするのが特徴だ。

 「専業主婦が就職するためにやっておくべき8つのこと」の著書で知られ、今回のプログラムをサポートする薄井シンシアさんは、家庭を守る中で培われた主婦の調整能力や複数の作業を同時進行するマルチタスクといった潜在的な能力を評価した上でこう話す。「パートだけで終わらせずに、ぜひキャリアを積んでほしい。そのためには、職種を選択する際の柔軟性と、やりとげる覚悟が必要です」。

 参加者らは、業界研究などを経て、12月6日、ホテルとのマッチングイベントに臨む予定だ。

関連記事:薄井シンシアさんが語る、ブランクを経て働くということ(METI Journalより)
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