“企業の身売り”に慎重な日本、ZOZO前澤に見る新しい経営者像

 企業の「身売り」―。こう聞くとどんなイメージを抱くだろうか。借金で首が回らなくなった時の最後の手段、自力での成長を諦め泣く泣く…。こんな印象が根強い中、ZOZOのヤフーへの身売りは様相が違った。

 ヤフー傘下入りを説明した先週の記者会見。Tシャツ姿で登場した創業者の前沢友作さんは従業員への思いを聞かれた時を除いて終始笑顔だった。

 「ファッションにそれほど興味のない人にもアプローチが必要」と課題を認めつつ、幅広い層の利用者を抱える「ヤフーと成長を目指すための決断」と前向きに話した。前沢さん自身も「宇宙や新事業に挑戦したい」と意欲をみせた。

 一時、米アップルを追放された故スティーブ・ジョブズ氏は他社から買収した事業をもとに米ピクサーを設立し、その後、米ディズニーに身売りした。ピクサーのローレンス・レビー元最高財務責任者(CFO)の著書『PIXAR』によると、事業多角化の選択肢もある中で売却を決めたという。

 身売りは飛躍のための有力な選択肢になり得る。日本では「後ろ向きに捉え、尻込みする経営者が多い」と、INCJ(東京都千代田区)会長の志賀俊之さんは指摘する。前沢さんの決断が起こす変化に期待したい。

日刊工業新聞2019年9月16日



社長of社長「孫正義」


 産業能率大学がまとめた年末恒例の調査「社長が選ぶ今年の社長」は2018年も1位はソフトバンクグループの孫正義会長兼社長。11回の調査で3年連続7回目のトップとなった。

 先見性を感じさせる投資やスケールの大きい経営に高い評価が集まった。とはいえ、上位メンバーは固定的。日本経済を考えると新たな人材の登場も待たれる。

 これまでの調査で孫会長兼社長以外でトップに立ったのはファーストリテイリングの柳井正会長兼社長、調査期間に日本航空会長だった京セラの稲盛和夫名誉会長、トヨタ自動車の豊田章男社長の3人だけ。豊田社長は半分以上で2位を確保している。5位以内は毎年あまり代わり映えしない。

 そんな中で、今回はZOZOの前沢友作社長が「これまでにない発想で事業を拡大」、「安定性と革新性の両立」などが評価されて17年の31位から初のトップ10入り、3位となった。4位には、13年の3位以来トップ10落ちし17年に10位に返り咲いた楽天の三木谷浩史会長兼社長が入った。初のトップ10入りも半数でた。

 同調査は従業員数6人以上を雇用する経営者607人を対象に11月20日から10日間インターネットを使い実施、433人から回答を得た。
                

日刊工業新聞2018年12月12日

  

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