次世代原子炉「高温ガス炉」の実用化に大きく前進!燃料が量産化しやすく
原子力機構など技術確立
日本原子力研究開発機構と原子燃料工業(横浜市鶴見区、北川健一社長、045・500・6300)の研究グループは、次世代原子炉とされる「高温ガス炉」に使える高品質な燃料の量産化技術を確立した。原子力機構の現在の高温ガス炉「高温工学試験研究炉」(HTTR)に比べ3倍のエネルギーを取り出せる粒子状ウラン燃料の設計技術を開発。製造した燃料に中性子を照射し、高い安定性を確認した。2025年に運転開始予定のポーランドの研究炉への同燃料の導入が検討されている。
実用化レベルの高温ガス炉では、ウラン1トンから取り出せるエネルギーの量が現在のHTTRの3倍となる1日当たり100ギガワット(ギガは10億)の規模で必要になる。ウランを密封した被覆燃料粒子から取り出される燃焼エネルギーが高くなると、ウランの核分裂で作られるガスなどで粒子内の圧力が高くなる。被覆燃料粒子の実用化には圧力上昇による被覆層の破損を抑える設計技術の開発が課題だった。
原子力機構は、ウランの球の大きさや被覆層の厚さを変えるだけで、被覆燃料粒子の破損をほぼゼロに抑える設計技術を完成。同設計技術に基づき、原子燃料工業の大量生産用設備で直径約1ミリメートルの被覆燃料粒子を製造した。さらにカザフスタンの核物理研究所が所有する中性子照射炉で、中性子照射試験を実施。1000度C程度の高温になる中性子照射環境下でも同粒子が高い健全性を示すことを明らかにした。
研究成果は12日、富山大学五福キャンパス(富山市)で開催中の日本原子力学会で発表された。
実用化レベルの高温ガス炉では、ウラン1トンから取り出せるエネルギーの量が現在のHTTRの3倍となる1日当たり100ギガワット(ギガは10億)の規模で必要になる。ウランを密封した被覆燃料粒子から取り出される燃焼エネルギーが高くなると、ウランの核分裂で作られるガスなどで粒子内の圧力が高くなる。被覆燃料粒子の実用化には圧力上昇による被覆層の破損を抑える設計技術の開発が課題だった。
原子力機構は、ウランの球の大きさや被覆層の厚さを変えるだけで、被覆燃料粒子の破損をほぼゼロに抑える設計技術を完成。同設計技術に基づき、原子燃料工業の大量生産用設備で直径約1ミリメートルの被覆燃料粒子を製造した。さらにカザフスタンの核物理研究所が所有する中性子照射炉で、中性子照射試験を実施。1000度C程度の高温になる中性子照射環境下でも同粒子が高い健全性を示すことを明らかにした。
研究成果は12日、富山大学五福キャンパス(富山市)で開催中の日本原子力学会で発表された。
日刊工業新聞2019年9月13日(科学技術)