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富士フイルム、医療従事者の負担軽減の切り札にAI

診療支援サービスに搭載、2―3年で実現
 富士フイルムは医師の診療を支援するITサービス「CITA(シータ)」に人工知能(AI)を組み込む。2―3年のうちに実現する。検査の確認ミス防止や入退院に必要な文書の自動作成などをAIが補助し、労働時間や作業量が増加し続けている医療従事者の負担を軽減する。患者と向き合う時間を創出する狙いだ。薬事承認が必要な機能も含め、複数の機能を段階的に更新していく。

 シータは電子カルテや検査画像などの診療に必要なデータを集約して表示するシステム。現在は患者のさまざまな情報を一括して参照する機能や検査リポートの見落としを防ぐ既読通知機能を備えるが、今後はAIを活用して医療従事者を補助する複数の機能を組み込む予定だ。

 新機能の一つは、入退院時に必要な文書などの下書きをAIが自動で作成するもの。医師の時間外労働の理由の約5割は報告書の作成や書類整理。新機能ではAIが定型文を中心に文書を作成し、医師の負担を減らす。医療ミスを防ぐため、文書の根拠になるデータも作成と同時に表示し、医師が最終的なチェックを行う。

 AIによる複数の機能を搭載することで、患者の診断に必要な情報を教えてくれる「診療アシストBot」としての活用を見込む。診断前に必要な情報を医療従事者がシータに質問して回答を求めたり、重要な情報の見落としがないようアラートを表示したりする。

 18年の既読通知機能の搭載からシータの販売は前年比で約4割伸長しており、今後もシェア拡大を目指す。

               
日刊工業新聞2019年9月10日

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