鉄道の安全向上へ、東京メトロが導入するJR東のノウハウ

営業車両で軌道点検

 東京メトロは、JR東日本が実用化している営業車両による「線路設備モニタリングシステム」を導入する。鉄道の安全・安定性向上と生産性改善を目指し、早期に設備の状態基準保全(CBM)を確立するには、他社で実績のある技術を導入するのが効率的であると判断した。JR東と交渉を進め、早ければ2019年度中にも地下鉄線で実証を開始。21年度をめどに本格展開を目指していく。

 東京メトロは21年度を目標とする中期経営計画の中で、長期的な主要テーマの一つとして「CBM導入に向けた技術開発」を掲げている。従来の定期検査を元にした時間基準保全(TBM)に対し、CBMでは設備の劣化や故障予測に基づいて保全作業を実施。故障を未然に防げるほか、作業を最適なタイミングで計画的に行えるため、生産性が高まる。

 JR東から導入を計画するのは営業車両に搭載した検査装置で、レール(軌道)のデータを高頻度に取得し、線路点検の効率化や保守の最適化につなげるメンテナンス手法。現在、線路の点検は軌道検測車の走行と徒歩巡視で対応している。

 線路設備モニタリングシステムは、レールの歪みを検測する「軌道変位モニタリング装置」と、まくら木やレール締結装置の状態を撮影する「軌道材料モニタリング装置」で構成。JR東は約5年の実証を通じ、ビッグデータ(大量データ)分析による保線判断支援システムを開発した。首都圏を中心に導入線区を広げており、20年には50線区で運用する予定。JR東以外への展開は初となる。

 東京メトロのCBMへの取り組みは、車両分野で先行。すでに丸ノ内線新型車両ほか一部車両でブレーキや制御装置など車両設備の状態監視に着手した。

 今後、収集した設備の稼働データから、故障に至るデータの変化を把握して、寿命予測や変化点を分析するとともに、他の設備や外部要因との間でデータ変化の相関関係を探る。

日刊工業新聞2019年9月10日

  

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