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中古端末のSIMロック解除、なぜオンライン対応してない?

KDDIとソフトバンクはNG「誰が解除するのか把握できない」
 KDDIは1日、自社で販売したスマートフォンを他社の通信回線では使えなくする「SIMロック」の解除について中古品にも対応した。NTTドコモは2月20日、ソフトバンクは8月21日に対応済み。総務省が9月1日までとした期日までに携帯大手3社が中古品のSIMロック解除に応じたことになる。ただ、KDDIとソフトバンクはオンラインで中古品のSIMロック解除ができず、使い勝手に課題が残る。

 「オンラインでの中古端末のSIMロック解除にドコモは対応しているのに、なぜKDDIとソフトバンクは対応していないのか」―。改正電気通信事業法が10月1日に施行することを受けた総務省の有識者会議で、野村総合研究所の北俊一パートナーは出席した携帯大手幹部を問いただした。

 これに対し、KDDIの担当者は「店舗でどんな方が来たのかを見ながら解除している。オンラインでは誰が解除するのか把握できない。1日時点では対応できないが、見直しも考えたい」と回答。ソフトバンクも「本人確認上の問題で対応していないが、良い方法があれば見直しも検討したい」と答えた。盗難品の悪用防止の観点から中古品のSIMロック解除に慎重になっていた経緯があるからだ。

 一方、ドコモの藤原道朗取締役はオンライン対応の理由について「店舗に多数の中古端末を持ってきた顧客がいた場合、店舗の運営に支障をきたし、他の顧客の待ち時間が長くなる。店頭での解除には手数料がかかることもある」と述べた。オンラインでのSIMロック解除は無料だが、店頭では3000円の手数料がかかる。

 契約者が自社で購入した端末のオンライン解除についても、ソフトバンクは9―21時、KDDIは9―21時半以外の対応をしていない。社会人が平日にインターネットを閲覧する22時以降も対応すべきだとする意見も有識者から出た。

 10月1日に施行する改正電気通信事業法では、通信契約を条件とする端末値引き上限が2万円となる。過度な端末補助が抑制され、高機能スマホ価格が上昇する見込み。中古品のSIMロック解除で割安な中古スマホの流通を促進する狙いがある。

 中古スマホの販売増は携帯大手3社の販売店での新型スマホの販売減につながりかねないだけに、携帯3社への影響を注視する必要がある。
                

(取材・水嶋真人)

日刊工業新聞2019年9月3日

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