ニュースイッチ

スチール製品製造の中小、ビニール袋のインド生産を始める理由

野菜や果物の鮮度を長期間保持できる「フレッシュママ」を生産
スチール製品製造の中小、ビニール袋のインド生産を始める理由

常温下保存21日後の桃。フレッシュママ未使用(左)とフレッシュママ使用(右)

 日産スチール工業(京都府木津川市、西部清志社長、0774・99・2500)は、年内にインドで野菜や果物の鮮度を長期間保持できるビニール袋「フレッシュママ」の現地生産を始める。製造・販売の委託先となる現地メーカー・商社との交渉を進めており、早ければ秋にも委託契約を締結する見通し。これまでサンプル販売のみだったが、同国での需要の伸びを見込み、本格販売する。海外での現地生産は初めてという。

 販売価格は1枚当たり20セント(約21円)となる見込みで、2025年までに月1億円、年間10億円の売り上げを目指す。また、数年内には現地支社の開設も目標として掲げている。

 同製品は、野菜や果物から発生する劣化原因のエチレンガスを効率よく二酸化炭素と水に分解し、一部は袋外部に排出する。1週間の空輸で約3割損耗する果物が、同製品の使用によって1割以下の損耗に抑制できる効果があるという。

 西本英世国際部長は「インドは果実大国。ただ農家から青果市場に届くまでの間に50%以上の作物が腐敗している」とし、同国の課題として「輸送時の食品ロス軽減」を挙げる。日産スチール工業は現地のこうした課題解決ニーズに応えるとともに、今後は同国を同製品製造・販売のモデル市場と位置付け、他国にも展開していく方針だ。
日刊工業新聞2019年9月2日

編集部のおすすめ