顧客は8100万人!いよいよ始まる「LINE証券」、野村の思惑は?
ユーザーを投資や資産運用の世界に誘い
野村ホールディングスが無料対話アプリ大手LINEと組み、スマートフォンを通じた株取引などのサービスを提供する「LINE証券」の営業が始まった。国内の有名企業100社の株や9種類のETF(上場投資信託)を1株、1口から売買できる手軽さが特徴。高齢者に多い富裕層への対面販売を得意としてきた野村は、若年層など8100万人に上るLINEユーザーを投資や資産運用の世界に誘い、将来の顧客基盤拡充につなげることを狙う。
野村HDの池田肇執行役員は「資産運用の経験がない、多くの潜在的顧客にオンラインで接点を持つ」と強調し、「『貯蓄から資産形成へ』の流れを加速できるのではないか」と期待感を示した。ただLINE証券で獲得したユーザーをうまく野村のサービスに導くことができるかは未知数だ。
現役世代の資産形成をめぐっては、老後の生活資金への不安から、国民年金や企業年金に加えて個人で積み立てて運用し、老後の収入を補う個人型確定拠出年金(イデコ)などの需要が拡大している。イデコの加入者数は対象者が拡大された2017年以降に増加ペースが加速し、19年3月末時点で約120万人となった。
ただ大手証券がこのニーズをうまく取り込んできたとは言いがたく、口座開設の受け入れではインターネット証券が先行しているもようだ。
金融庁が19年6月3日、「老後資金が世帯当たり平均2000万円不足する」との報告書を公表すると、SBI証券の申請数は6月に前月比1・5倍に膨らみ、7、8月も増勢が続いた。楽天証券もイデコと少額投資非課税制度(NISA)を合計した6月の口座申請が前月比2倍に拡大。「30―40代が危機感を強めた」(SBI証券)形だが、野村では「急増はなかった」という。
SBI証券幹部はこうした背景について「大手証券より口座の開設や管理、金融商品購入の手数料を安く提供していることが大きい」と分析。「ネットに親しみを持ち、コスト意識も高い個人が資産形成を始める際、当社などが選ばれるのは自然」と自信を示す。
大和総研の保志泰金融調査部長は「富裕層などにアプローチしてきた大手証券の営業マンは一般の若年層には向かわない傾向にあるし、若年層にはそもそも対面証券の店舗に赴いて利用するイメージがない」と指摘する。また、大手証券が現役世代を取り込んでいくには「従来型の対面販売にこだわらない、新しい発想が必要になる」と語っている。
野村HDの池田肇執行役員は「資産運用の経験がない、多くの潜在的顧客にオンラインで接点を持つ」と強調し、「『貯蓄から資産形成へ』の流れを加速できるのではないか」と期待感を示した。ただLINE証券で獲得したユーザーをうまく野村のサービスに導くことができるかは未知数だ。
現役世代の資産形成をめぐっては、老後の生活資金への不安から、国民年金や企業年金に加えて個人で積み立てて運用し、老後の収入を補う個人型確定拠出年金(イデコ)などの需要が拡大している。イデコの加入者数は対象者が拡大された2017年以降に増加ペースが加速し、19年3月末時点で約120万人となった。
ただ大手証券がこのニーズをうまく取り込んできたとは言いがたく、口座開設の受け入れではインターネット証券が先行しているもようだ。
金融庁が19年6月3日、「老後資金が世帯当たり平均2000万円不足する」との報告書を公表すると、SBI証券の申請数は6月に前月比1・5倍に膨らみ、7、8月も増勢が続いた。楽天証券もイデコと少額投資非課税制度(NISA)を合計した6月の口座申請が前月比2倍に拡大。「30―40代が危機感を強めた」(SBI証券)形だが、野村では「急増はなかった」という。
SBI証券幹部はこうした背景について「大手証券より口座の開設や管理、金融商品購入の手数料を安く提供していることが大きい」と分析。「ネットに親しみを持ち、コスト意識も高い個人が資産形成を始める際、当社などが選ばれるのは自然」と自信を示す。
大和総研の保志泰金融調査部長は「富裕層などにアプローチしてきた大手証券の営業マンは一般の若年層には向かわない傾向にあるし、若年層にはそもそも対面証券の店舗に赴いて利用するイメージがない」と指摘する。また、大手証券が現役世代を取り込んでいくには「従来型の対面販売にこだわらない、新しい発想が必要になる」と語っている。
日刊工業新聞2019年8月29日(金融・商況 )