踏み間違い防止はトヨタ“究極の使命”への第一歩

後付けシステム、年末までに計12車種に対応

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トヨタの車両に搭載した超音波センサー
 近年、社会的問題として取りざたされている高齢運転者による交通事故。特にブレーキとアクセルの踏み間違いの死亡事故は75歳以上の高齢運転者による比率が高い。つながる車や自動運転は交通事故を大幅に低減できると期待されるが、本格的に普及するのはまだ先の話だ。まずは既存の車の安全対策を進めることが重要であり、そこで培ったセンサーなどの技術やノウハウがCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)を含めた車のさらなる高度化につながるはずだ。

 トヨタ自動車は18年12月に、後付けの「踏み間違い加速抑制システム」の販売に乗り出した。4月末時点での販売台数は1660台で、さらなる普及拡大が課題だ。そこで年末までに、対象車種をこれまでの5車種から広げる。6月には対象車種に「ポルテ」「スペイド」「ウィッシュ」を加えた。年末までに計12車種に対応する計画だ。

 トヨタの後付けシステムは、警告通知とアクセルの抑制で踏み間違い事故防止を支援する。車の前方と後方にそれぞれ二つずつ取り付けた超音波センサーで、約3メートル以内にある壁などの障害物を検知するとブザー音で通知する。

 そこでブレーキと間違えてアクセルを踏み込んでしまった場合、踏み込みを検知してアイドリング状態になるような制御信号を出し、アクセルを踏んでも反応しないようにする。同時に車内の表示機とブザー音でも警告する。後退時には障害物がなくても、時速約5キロメートル以上でアクセルを踏むと同様にアクセル抑制と警告表示を実施する。ただクリープ状態になるので、停車するためには運転手がブレーキを踏む必要がある。

 トヨタは、同システムの普及には「取り付けコストが一つのハードル」とみる。同時に「もっと機能の良さを知ってもらわないといけない」と、周知活動もカギを握る。

 一方、新車への安全対策機能は浸透してきた。踏み間違い事故への対応として、12年から「インテリジェントクリアランスソナー(ICS)」の搭載を開始。車両の前後に四つずつ備えた超音波センサーで約4メートル以内の障害物を検知し、アクセルの出力を抑制する。それでも踏み間違いなどで障害物に近づき、そのままだと衝突すると判断した場合に自動でブレーキをかける。新車へのICSの搭載率は75%になり、踏み間違いによる事故発生率は約7割低減できるという。

 また歩行者や車線の検知、自動ブレーキなど、安全支援機能をパッケージ化した「トヨタセーフティセンス(TSS)」の搭載も進めており、新車への搭載率は95%まで高まった。

 豊田章男社長は「交通事故死傷者ゼロの社会を作るのが、我々の究極の使命だ」と力を込める。高齢運転者による重大事故が相次ぐ中、後付けシステムも含めた安全対策機能の普及に弾みをつけて、その実現につなげる。
              

日刊工業新聞2019年8月15日の記事から抜の

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