手数料にあらず…岡山トヨペットが個人カーシェア仲介で本当に狙う効果

「イドカリ」の実証実験を開始

 岡山トヨペット(岡山市南区、末長一範社長、086・897・1000)は個人間のカーシェアリングを仲介する「イドカリ」の実証実験を始めた。メーカー系列の新車販売店によるカーシェアリング事業は全国的に珍しいという。少子高齢化などで、国内の新車販売の伸びが見込めない中、新たなビジネスモデルを模索する。

マッチング事業


 イドカリは専用サイトに車のオーナーが貸し出す車や料金を登録し、借りたい人とマッチングする事業。実証実験は2月末から9月まで行う。貸出時間は6時間から24時間。続けて借りれば「2―3日の利用でも対応できる」(伊崎憲二戦略社長室室長)という。年会費などは不要で、料金は6時間2000円から。

 同社が料金の10―20%を手数料として得るものの、手数料で収益を上げるのが目的ではない。車のオーナーが自分の使わない時間を活用し、収入を得られれば「ワンランク上の車の購入につながる」(同)と見る。イドカリに登録している車はスポーツ多目的車(SUV)やミニバン、ステーションワゴンなど多様だ。国内メーカーだけでなく、輸入車の登録もある。

 岡山トヨペットは岡山県内に中古車販売店を含め18店舗を展開している。この店舗網を活用し、「貸し手と借り手とのトラブル解消など安心・安全なサービスを提供したい」(同)。

新型車を体験


 一方、4月1日から5月11日までの期間限定で本店(岡山市南区)の顧客に試乗車を無料で最長3日間、貸し出す新サービス「モビコ」を実施した。試乗車の有効活用を図ると同時に、顧客に新型車の乗車を体験してもらうのが狙い。貸し出した車両は17車種の計35台。期間中に76件の利用があった。

 人気が高かったのはミニバン「アルファード」やSUV「ハリアー」。特別期間中の4月26日から5月11日は最長16日間、利用できたこともあり「家族旅行に利用したお客さんが多かった」(同)という。スポーツカー「86(ハチロク)」は50代の男性から貸し出しの希望が多かったという。

 自動車各社は近年、自動運転機能の充実や電動化などに力を入れており、「新型車の乗車で良さを体感してほしい」。今後も期間を決めて試乗車の無料貸し出しを実施する方針で、対象店舗も全店に拡大したい考えだ。

市場は頭打ち


 2018年の国内新車販売台数は前年比0・7%増の527万台。軽自動車が4・4%増えた一方、登録車は1・3%減少した。市場全体として頭打ちの状況が続く中、岡山トヨペットの19年3月期の新車販売台数は6957台と前年から微減した。さらにトヨタ自動車の販売店は20年5月から全車種を販売できる体制に変わり、今後の競争激化も予想される。

 こうした市場の変化を捉え、個人間カーシェアリング事業や試乗車の無料貸し出しをした岡山トヨペット。新車販売だけでなく、付加価値を提供することで、顧客に選ばれる販売店を目指す。(文=岡山・大櫛茂成)

                

日刊工業新聞2019年8月16日

  

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