トヨタとも組む!「ホンダの自前主義」はイメージ先行だった

独りよがりにならず、他社との連携で新風吹き込む

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自動車産業は過去にない大転換期と考える八郷ホンダ社長
  トヨタ自動車とソフトバンクグループが共同出資するモネ・テクノロジーズ(東京都港区)にホンダが参画することになった。自前主義の色が強かったホンダのイメージは過去のものになりつつある。1社と関係を深め、そこから提携先を拡大していく姿は、提携戦略が欠かせないCASE時代の自動車メーカーを象徴する。

 ホンダは「CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)」と呼ぶ技術・サービスの新潮流の本格到来を見据え、業種や国境を越えて他社との提携戦略を加速している。

 電動車両の基幹部品であるモーターの開発・生産では日立製作所と組み、中国のカーシェアリング事業では、中国IT大手ニューソフト傘下のリーチスターに出資して提携した。その中でも特にソフトバンクとのつながりは強い。

 ホンダとソフトバンクは16年7月には人工知能分野で、17年11月には第5世代通信(5G)を活用したコネクテッドカー(つながる車)技術で、それぞれ共同研究を始めると発表した。

 ソフトバンクと間接的に手を組むケースもある。ホンダは18年10月、自動運転車を使ったライドシェア(相乗り)サービス事業で米ゼネラル・モーターズ(GM)との提携を発表した。GM子会社で自動運転部門を担うGMクルーズホールディングスへの出資が柱の一つだが、GMクルーズにはソフトバンクも出資している。

 そして今回、モネを軸にトヨタとも手を組む。ホンダの八郷隆弘社長は、「『自前主義』、『純血主義』と評されることが多いがそうは思わない。これまでもさまざまな企業との付き合いがあった。ただその世界は格段に広がっている。自動車業界に技術革新のパラダイムシフトが起きる中、外部と積極的に連携する必要がある」と話す。

 イノベーションは、多彩な関係者がオープンな議論を重ね、ともに進むべき方向を考え、協業する中から生まれる。産業界では「協調領域・競争領域」といった言葉で、自社で手がける技術と他社と協業する技術を明確に選別する動きが広がる。ホンダも同じだ。

 技術開発を先導する本田技術研究所(埼玉県和光市)も例外ではない。「開国だ」と社内にはっぱをかけている。特に技術者は自らの研究は大切にしたいし、ややもすると同じ考えの人材が集まり特別な「村」を作ってしまう。

 開発力に磨きをかける原動力は、今も昔も変わらないホンダの企業風土、技術者魂と言っても過言ではない。「負けたくない」「まねしたくない」との思いが根底にある。

 ただ、八郷社長は「独自性を追求しすぎて独りよがりになってはいけない。消費者のニーズ、ライフスタイル、価値観が多様化する時代だからこそ現場に足を運び、市場の声に耳を傾ける努力を怠ってはならない」と話す。

 現場に戸惑いはあるかもしれない。だが、新風が吹き込むことで見えてくる世界があるはずだ。

日刊工業新聞2019年3月29日の記事を加筆・修正

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