販売台数減少に危機感…2輪車業界が若者需要喚起にあの手この手

自工会やメーカーが啓蒙活動

 2輪車業界が若者の需要喚起を積極化している。日本自動車工業会(自工会)では大学生に2輪車に関する体験を情報発信してもらう新たな取り組みをスタートした。国内2輪車メーカーも独自の啓発活動を進める。停滞する国内2輪車市場を活性化するには若者に身近に感じてもらえるかがカギをにぎる。(文=山岸渉)

SNS活用で魅力発信


 「業界が発信する情報が若者に届いていない」。自工会二輪車特別委員会の日高祥博委員長(ヤマハ発動機社長)は、自工会が10―20代の若者世代などを対象に行った調査結果を受け、危機感をあらわにする。実際に2018年の国内2輪車販売は前年比3・8%減の36万9114台と統計史上初めて37万台を割り込んだ。

 自工会は、2輪市場の下落を食い止め、需要を喚起するには若者世代の興味関心を掘り起こすことが欠かせないと判断。そこで始めたのが「自工会二輪車普及アンバサダー」という取り組みだ。

 アンバサダーは都内に住む大学生8人を任命し、2輪免許取得に関する体験や達成したい夢などを会員制交流サイト(SNS)で発信してもらう。免許取得費用などは自工会で支援する。率直な意見を発信してもらうため、アンバサダーの素性は明らかにしない予定だ。まずは20年3月までの期間を予定。日高委員長は「数年にわたり実施する」と気長に取り組む考えだ。

                

 SNSを日常的に使う若者世代には、SNSによる発信が2輪の関心や興味を引きつける有効な手段だ。ホンダは「ホンダGO」というプロジェクトで旅先で若者らが思わず2輪に乗りたくなる映像などをウェブ上で発信している。

 多様な趣味を持ち各分野で活躍するインフルエンサー(世間に大きな影響を与える人物)の2輪旅などもSNSで紹介。インフルエンサーは「芸能人というより、バイクを日常的に使っているもう少し身近な人」(担当者)を想定し、若者らの共感も得たい考えだ。旅先と想定されるホテルなどと組み、2輪車のレンタルサービスも検討するもようだ。

店舗で気軽に触れて レンタルサービス拡充


 情報発信とともに、若者らが実際に2輪車に気軽に乗ってもらうためのサービスを拡充する動きも見られる。一つがレンタルサービスだ。価格がネックとなって2輪車そのものを買うことはできなくても、数千円からのサービスであれば、若者でも手を伸ばしやすい。そこから顧客ニーズも確認できる。

 川崎重工業は3月にレンタルサービスや中古車販売を手がける店舗を東京大田区に開設した。川重製の2輪車を基本的に全機種、全色そろえる。免許の有無にかかわらず、気軽に2輪車に触れられる場にもする。川重は「レンタル数は7月時点で3月時点と比べて平均3倍に増えた」と手応えも感じている。

 一方、ヤマハ発動機は月額制のバイク貸し出しサービス「月極ライダー」をスタートした。20年5月末まで埼玉県内で実証実験を実施する。サービス内容を検証し、エリア拡大も検討する。

 引き続きイベント開催にも力を入れる。自工会と日本二輪車普及安全協会は8月19日の「バイクの日」に合わせ2輪車の楽しさなどを紹介するイベントを都内で開く。バイク好きの芸能人によるトークショーなども予定する。スズキは10月に試乗会「ファンRIDEフェスタ2019」を開催する予定だ。

 2輪車全体の販売台数は下落傾向だが、排気量125cc超250cc以下の軽2輪など販売が伸びているクラスもある。

 ホンダの「CBR250RR」は購入平均年齢が若く人気だという。若者へのアプローチによって需要を底上げしていくとともに、魅力的な商品を提供していくことも欠かせない。

ホンダの「CBR250RR」は、購買平均年齢が若く人気だという

日刊工業新聞2019年8月14日

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。