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バイクにも押し寄せる消費の変化の波、モノからコトへ

レンタルサービス広がる
バイクにも押し寄せる消費の変化の波、モノからコトへ

川崎重工業が都内に開設した2輪車レンタルの新店舗「K ユーズド&レンタル東京」

2輪車のレンタルが広がっている。川崎重工業が自社製2輪車のレンタルサービスに乗り出した。新事業として育てつつ、顧客の需要を調べて商品やサービスの向上に生かす。ヤマハ発動機は2輪車のレンタルを全国展開するほか、ホンダの販売店などでも取り組みが拡大している。「モノからコトへ」の消費の変化が2輪車にも現れ始めた。

 川重はレンタルサービスや中古車販売を手がける新店舗「K ユーズド&レンタル東京」(東京都大田区)を開設した。子会社のカワサキモータースジャパン(兵庫県明石市)が運営し、川重製の2輪車を基本的に全機種、全色そろえる。

 レンタル価格は排気量250ccクラスだと4時間8700円(消費税込み)から。免許の有無にかかわらず、気軽に2輪車に触れられる場として需要の掘り起こしも狙う。カワサキモータースジャパン営業統括部の神保靖新規事業部長は「ニーズが高ければ、次の人口密集地域にも出店したい」と意欲を見せる。

 川重は、2輪車で新たなライフスタイルを提案する店舗「カワサキプラザ」で、若者や女性らへの訴求をしている。新たな顧客管理システムを導入するなど店舗やイベントを通じ顧客の需要を調査し、情報発信から効果的に顧客層を広げる考え。レンタルサービスの新店舗も顧客ニーズを掴むための重要な場として捉える。店舗内に2次元コードを用意し、スマートフォンから回答できるアンケートを通じて需要を分析するなど、的確なサービスや商品の提案にも生かす。

 ヤマハ発動機は2018年10月に始めた2輪車のレンタルサービスを全国に広める構えだ。現在、国内37店舗で扱っており、20年までに70店舗に増やす計画。手軽さなどから「徐々に会員登録が増えている」(担当者)という。

 ホンダも、ホンダ車専売の「ホンダドリーム店」などで2輪車のレンタルを一部店舗で提供している。高級ブランド「ハーレーダビッドソン」も昨年から日本法人を通して自社ディーラー網を活用したレンタルサービスを始めた。所有することなく、2輪車の醍醐味を手軽に楽しめる手段としてレンタルが定着するかもしれない。
日刊工業新聞2019年4月12日

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