5Gで需要急増!?、問い合わせ殺到「液晶ポリマーフィルム」の実力

共同技研化学、銅箔と密着、断線・剥離なく

 第5世代通信(5G)機器向けに需要が急増しそうなのが液晶ポリマー(LCP)フィルム。低ノイズ・低消費電力、超微細化などの特徴でフレキシブルプリント配線板(FPC)用基材に有望視されている。中小企業ながら、その量産に乗り出すのが共同技研化学(埼玉県所沢市、浜野尚吉社長、04・2944・5151)。回路パターンとなる銅箔(はく)との強固な密着性も競合品にはない武器の一つだ。

 「自分が社長でなかったら、とっくに撤退していた。昨年前半にはそろそろやめようかと思っていた」。浜野社長がこう漏らすように、LCPは長らく冬の時代を送っていた。電子機器のFPC素材はポリイミドが席巻。「我々もLCPで追いかけたが、信頼性とコストパフォーマンスで完敗した」(浜野社長)ためだ。それが昨年の夏頃に一変する。

 より高い特性が求められる5Gでは、含水率の高いポリイミドは誘電損失が高く、ノイズの原因となってしまう。「極端な話、ノイズによってイエスの信号がノーに聞こえてしまう。軍需産業では死活問題だ」(同)。そうしたこともあり、海外企業を中心に共同技研へLCPの問い合わせが殺到し始める。 

 同社の強みはそれだけではない。製造方法が独特なのだ。LCPフィルムは横方向への力に弱く、裂けやすい。それが回路の断線につながる。同社では前駆体からフィルムに加工するため、横方向にも強く、断線の心配がない。さらに、LCPフィルムと銅箔の接合も特殊な熱処理により、分子レベルで結びつくことで、ほぼ剥離しない密着性を実現。それがノイズをさらに抑制する上、銅箔の厚さを5マイクロメートルまで薄くでき、回路パターンの超微細化も可能になる。

 12月末には銅張り積層板として量産を始める。かつてポリイミドとの価格差は約40倍の開きがあった。「足元では5倍まで縮まってきた。量産開始でコストはさらに下がるが、3倍強の値差で十分だろう」と、さまざまな強みの分の付加価値は譲らない構えだ。(川越支局長・大橋修)

日刊工業新聞2019年8月6日

  

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