シロアリの羽が持つ超撥水機能を再現、空気中から水を集められる?

水滴の大きさも区別可能

 龍谷大学理工学部物質化学科の内田欣吾教授らは、旭川医科大学や理化学研究所、東京薬科大学と連携し、シロアリの羽が持つ特殊な撥水(はっすい)機能を再現した結晶膜を開発した。膜表面に2種類の結晶を作り、表面構造を模した。空気中の霧のような微細な水分を捕捉する一方、大きな水滴を弾く特殊な撥水性を持つ。清掃なしで表面をきれいに保つセルフクリーニング材料や、空気中の霧から水滴を集め水を確保する技術へ応用が期待できる。

 豪州原産のシロアリは雨期に移動できるように、大きな水滴を弾き、小さな水滴は表面で集めて大きくし羽ばたきにより表面から放出する構造を持つ。同構造の再現のため、光を当てると結晶構造が変化して色が変わる分子で、熱に安定的な化合物「ジアリールエテン」2種類を混合した膜を作製した。

 この膜に紫外線を照射すると大小2種類の結晶が表面に並んだ。大きな結晶は高さ16マイクロメートル(マイクロは100万分の1)で幅1・5マイクロメートル、小さな結晶は高さ1・9マイクロメートルで幅0・2マイクロメートルと、シロアリの羽の表面構造に類似した。霧サイズに当たる直径100マイクロメートル以下の水滴は吸着し、それより大きな水滴は弾く機能も再現できた。

日刊工業新聞2019年8月7日(科学技術・大学)

小川 淳

小川 淳
08月08日
この記事のファシリテーター

生物の機能から学んで素材などを作り出す「バイオミメティクス」(生物模倣)の一環ですが、超撥水といえば蓮の葉が有名です。逆に超親水といえばカタツムリの粘液が知られています。何億年もの進化の果てに獲得した機能は、合理的であると同時に、細部は驚くほど美しいです。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。