「米中」激化で円高警戒、主要企業が見直した想定レート

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2日に決算を発表したトヨタ自動車(吉田守孝副社長)
 金融市場が先鋭化する米中対立を警戒している。6日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=105―106円台の円高基調で推移し、東京株式市場は下げ幅が一時、前日比600円を超えた。米国が中国からの輸入品ほぼすべてに追加課税する「制裁第4弾」の表明を受け、両国が報復を強める泥沼化の様相を呈す。2019年度の想定為替レートを足元より円安に設定している企業が多く、業績に及ぼす影響が懸念される。

【自動車】トヨタ、106円に修正


 乗用車メーカーはトヨタ自動車を除く6社が、4―6月期決算発表時も19年度の想定為替レートを見直さず、期初に設定した1ドル=109―110円に据え置いた。いずれも足元より円安の設定で、今後の相場動向が懸念される。

 想定を修正したトヨタ自動車は同106円と期初に比べ4円の円高方向に見直した。この影響で通期業績予想を下方修正し、3年ぶり営業減益を見込む。近健太執行役員は「少しでも挽回するべく収益改善活動を期初から上積みする」と説明する。ただ足元は想定した同106円を上回る円高局面もみられ先行きは楽観できない。

 三菱自動車は同109円、残る5社は同110円に設定した。ホンダは対ドル1円の円高で年間120億円の減益要因となる見込みで、竹内弘平専務取締役は「足元で為替変動があるが、大幅に変わらないとみている。判断も難しい」と語る。

【機械】建機など一部「保守的」


 造船・重機の19年度の想定為替レートは、三菱重工業、川崎重工業、三井E&Sホールディングスがともに同110円で、期初のレートを据え置いた。三菱重工の小口正範副社長は「今の相場は投機で円高になっている面もある。適正値は110円あたりだろう」と指摘する。

 だが米中対立の長期化は避けられず、想定レートより円高となれば、川崎重工は1円円高で17億8000万円の減益要因となる。

 期初に同105円と設定したIHIはこの水準を維持する見通しで、1円円高は10億円の減益要因となるが手堅いレート設定だ。

 工作機械業界では、牧野フライス製作所が期初の同105円を据え置いた。6日の相場は一時同105円台となったが「期初の保守的な予想通りになった」(IR担当者)と、現在の為替水準は織り込み済みだ。

 一方、DMG森精機は5月8日に1―12月期が同110円と公表し、今月6日発表では、同水準を維持。オークマも期初の想定レートの同110円を据え置いた。両社のレートは足元より円安だが、オークマの堀江親専務は「適正な利益が出るよう円高になると、現地価格を値上げするのが基本方針」と語る。

 建設機械大手4社は期初の想定レートを据え置き、コマツは同105円、日立建機は同100円と手堅い設定なのに対し、住友重機械工業(建機部門)と神戸製鋼所(同)は同110円と足元より円安水準を想定する。

【電機】シャープ105円、日立など110円


 電機業界は、ソニーが4―6月期決算発表時に期初の同110円前後を同108円前後に円高方向に修正。日立製作所やパナソニックは期初の同110円を据え置いた。三菱電機も期初の設定を維持したが、同105円と保守的な想定レート。シャープは期初の同109円を同105円に修正した。
                   

日刊工業新聞2019年8月7日

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