航空輸送が大幅減…米中摩擦で“風向き”変わる物流

「解決が見えない」

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米中摩擦や中国経済減速の影響が物流に現れ出した(イメージ)
 米中貿易摩擦や中国経済減速の影響が物流に現れ出している。特に直近3年近く活況が続いていた航空貨物で輸送需要の減少が著しく、明らかに風向きが変わった。好調を支えてきた半導体、電子機器、アパレルのいずれもが減退。電子部品は“需要の谷”との指摘もあるものの、関係者は米中の冷え込みが影を落としているとの見立てで一致している。

 航空貨物運送協会の調べでは、日本発の航空輸出混載重量は2018年12月以降に前年割れが始まり、6月は前年同月比29・4%減と落ち込みが激しい。フォワーダー(利用運送業者)の日本通運は4―6月の航空輸出品取り扱いが売り上げベースで前年同期比28・6%減った。近鉄エクスプレスは早くも、20年3月期の航空貨物取扱重量見通しを、期初計画の67万トンから55万トンに大幅下方修正した。

 ヤマトホールディングス(HD)は航空利用運送を手がける中国の関連会社で取扱荷物量が減少。「解決が見えない」(芝崎健一副社長)として4―6月期に、のれんの減損を判断し20年3月期の経常利益予想を30億円下方修正するに至った。

 日立物流は中国でフォワーディング事業に加えて、航空機の貨物スペースを買い取って販売するマスターローダー事業も展開するが佐藤清輝執行役専務は「事業者間で少ない荷物の取り合いになっている」と現状を説明。この状態が続けば「確保しているスペースの見直しも考えなければならない」とも話す。

 日本郵船子会社の貨物専業航空会社、日本貨物航空(NCA)も苦しい状況だ。日本郵船の山本昌平常務経営委員は「輸送量が2割を超えて落ち込んだのは想定外だった」と打ち明ける。消席率(輸送量/供給量)改善に取り組むが、この状態が長引けば「減便や運航機材を減らすことも検討しないといけない」との考えを示す。

 貨物専用機と旅客機で航空貨物事業を展開する全日本空輸(ANA)は18年秋口から、取り扱い貨物重量が前年同月比1―2割程度減で推移。福沢一郎ANAHD取締役は「重量を取るのに苦戦している」と明かす。中国から航空貨物で輸送していた品目は「生産が台湾やベトナムに移っている。工夫して対応する」との方針だ。

 ANAは大型貨物機「ボーイング777F型機」を、7月2日に中国―日本間で就航させたばかり。航空機エンジンや半導体製造装置、二次電池、医薬品といった「(大型機が)得意とする荷物」(福沢取締役)を訴求して、営業活動を積極展開する考えだ。
(文=小林広幸)

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日刊工業新聞2019年8月2日

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