半導体で国際物流狙う西鉄、韓国への規制強化「減退は不可避」

北村専務執行役員インタビュー「中長期も見通しは良くない」

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取締役専務執行役員・北村慎司氏
 西日本鉄道は国際物流を含む物流事業で2025年までに事業収益2000億円達成を目指す。19―21年度の中期経営計画が4月から走り、海外の現地法人設立など拠点の整備に注力する。一方、米中貿易摩擦や韓国への輸出管理強化など経済情勢は不透明さを見せる。国際物流事業本部長の北村慎司取締役専務執行役員に聞いた。

 ―日本発着の荷動きが鈍いです。
 「業界全体で19年の初めから輸出入ともに落ち込んでいる。久しぶりに厳しい。19年はこのままだろう。中国の減速に米中貿易摩擦が輪を掛け、中国本土と香港向けが激減した。上海の現地法人は好調で中国の内需は活発な面もある。だが中国に部材を送り、中国から輸出する構図は厳しくなった」

 ―どう補いますか。
 「中国の減少分と比較にならないが、メキシコ、ベトナム、フィリピン、台湾の荷動きは増えている。中国が絡まない第三国での展開を増やす。タイ、ミャンマーなどでは陸上輸送も活発化しており、体制を強化したい」

 ―韓国への輸出管理強化の影響は。
 「在庫調整の動きと重なり駆け込みもなかった。(対象品目の)輸出手続きに時間がかかるとなれば足元での減退は不可避。韓国が自国生産や中国からの調達に動けば、中長期も見通しは良くない」

 ―この環境で収益を伸ばす手段は。
 「品目戦略だ。得意分野の半導体は量が少なくても世界の需要を取っていく。航空宇宙分野の品質マネジメント認証『EN9120』を内外拠点で取得しており、取り扱いを伸ばす。衣料や食品も増やす考えだ。フィリピンで展開する流通加工をアジアや欧州で広げる。輸入前に現地で衣料に値札を付けるなど、安く速くというニーズに貢献できる。小回りが利く強みを生かして、新しい需要を開発し攻めていく」

 ―事業収益2000億円達成に向けては。
 「品目戦略に加えて海外現地法人の拡大で直接の実入りを増やす。イタリア、ブラジルのほか、すでに商圏はあるが収入に結びついていない地域を狙う」

 ―イタリアは時間がかかっています。
 「買収候補はあったが適切な規模感となると難しい。ブラジルも同様。M&A(合併・買収)は縁もあるので慎重に進める」

【記者の目】
 中計では21年度末までに31カ国・地域124都市に拠点網を伸ばす。18年には仏企業の子会社化や中東初のドバイの拠点化などを実現した。不透明な国際経済の下、品目・拠点両面で拡大基調を維持する。大手で初という、税関からのAEO(特定事業者)認定の倉庫・通関・運送での「三冠王」(北村氏)で競合と差別化する構えだ。
(西部支社・三苫能徳)

日刊工業新聞2019年7月30日

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