プレス各社が自動車向け熱間プレスの供給を拡大するワケ

アイダエンジはホット専用サーボ機の提案本格化

自動車の骨格を支えるプレス技術(イメージ)
 プレス機械各社が、自動車の骨格部品向けを主にしたプレス成形方法「ホットスタンピング(熱間プレス)」で、サーボプレス機の供給を拡大している。アイダエンジニアリングはホット専用のサーボ機の提案を本格化し、今後3年で過去6年間の実績に迫る計6台の受注を狙う。エイチアンドエフ(福井県あわら市)は国内顧客に今年納入した。台湾SEYIは日欧の車部品を開拓する。ホット市場は中期で現行比50%増に拡大すると指摘される。構造や価格面から油圧プレスが有利とされてきたが、状況が変わりつつある。

 ホットスタンピングは炉内で加熱した鋼板をプレス成形する技術。成形と同時に急冷することで強度の高い部品を製造できる。ホット向けは伝統的な油圧プレス機が主流。サーボ機はサーボモーターで駆動し、複雑形状の部品や高効率生産に向くが、価格や構造などの面で不利だ。

 アイダエンジニアリングは構造上の技術課題を解決した。これまで型締め時には、駆動摺動(しゅうどう)面に油切れが生じ、繰り返しの動作で焼き付け現象を引き起こすことがあった。サスペンションの圧力制御で、摺動面に隙間を作って潤滑油が入り込む新機能を開発、搭載した。

 エイチアンドエフは国内顧客にホット用サーボ機を納めた。顧客からの要求に応じて製造・販売していく。アミノ(静岡県富士宮市)はサーボ機、油圧機を含む3方式の商品構成で顧客の要望に柔軟に応える。SEYIは1分当たりの生産性が「油圧機の3―4個に対し、最大6個を期待できる」と生産性を強みに日欧を開拓。ドイツにテスト拠点を設けた。

 車各社はホットが「冷間成形に比べ成形性が良い」(トヨタ自動車)、「高い衝突安全性を確保したまま従来より部材を軽量化できる」(マツダ)と採用を拡大してきた。マツダは5月発売の「マツダ3」の車両重量の6%がホットによる。

 一方、「加熱などの工程数が冷間成形より多い」(トヨタ)と、サーボ機にしても冷間成形に比べた生産性、省エネルギー性が課題だ。このため車大手の中には冷間成形に軸足を置き直す動きもある。

日刊工業新聞2019年7月31日(機械)

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