ひと味違う日焼け止めに詰め込まれた技術たち

肌の健康守る

 日差しが強くなる夏を迎え、より深い部分に浸透する光線に対応する日焼け止めが出現している。富士フイルムは肌の奥まで入り込む最長波紫外線(UV)「ディープ紫外線」を防ぐ製品を開発した。また、サンスターは皮下組織まで届く「近赤外線」を防御する製品を開発した。肌の“光老化”を防ぐべく、各社はオールシーズンでの使用を呼びかける。(文=門脇花梨)

UV波長、幅広く防ぐ/近赤外線をカット


 真皮をUVから守る―。富士フイルムが展開する「アスタリフトD―UVクリア ホワイトソリューション」は、UV防御剤「D―UVガード+」を配合している。370ナノ―400ナノメートル(ナノは10億分の1)の長い波長のUVも防げる。通常の日焼け止めで防御できるUV―B波は290ナノ―320ナノメートルと短い。UV―A波対策がされている製品もディープ紫外線を完全には防げていないという。

 R&D統括本部バイオサイエンス&エンジニアリング研究所の金沢克彦研究マネージャーは「市販の日焼け止めがどこまでの波長をカットできているか徹底的に調べた。UVは波長ごとに肌への影響が違う。幅広い防御が必要だ」と話す。

 さらにホワイトソリューションには2019年、顔の動きに合わせて伸縮する新処方「ストレッチUVシールド」が追加された。表情が変化しても日焼け止めを塗った部分が割れることがなく、UVが入り込む隙を与えない。従来はせっかくUV膜ができても、表情の変化によって破れてしまっていた。上にファンデーションを塗れば、化粧崩れも防止できるという。進化した日焼け止めで、肌の健康を守る。

 一方、サンスターは紫外線以外の光線を防ぐ日焼け止め「エクイタンス光プロテクション」を開発した。六角板状酸化亜鉛にケラチンをコーティングした「光プロテクトシールド」配合で、近赤外線をカットできる。近赤外線は波長の長い光線で、真皮を超えて筋層までたどり着くといわれる。より深いしわの原因となる。

 酸化亜鉛は外壁に塗る白い塗料などに配合されている。同社は化粧品に配合すべく、透明にすることに成功した。長年培ってきた知見と技術が詰め込まれた日焼け止めだ。

 研究開発本部基盤事業研究開発部ビューティケア研究開発室の堂元貴弘室長は「800ナノ―1400ナノメートルの長い波長を防御できる。可視光線にも効果を示し、ブルーライトを防御できた実験結果もある。今だけでなく、未来の肌も守ってほしい」と明かす。現在、体用や子どもも使える日焼け止めの開発を視野に入れている。子ども用が開発できれば、日焼け止め塗布が義務付けられている海外への大々的な展開も望める。大きな飛躍の可能性がありそうだ。

 日光は適度に浴びれば健康維持に役立つが、浴びすぎると肌の炎症や老化へとつながり、皮膚がんのリスクが高まるともいわれている。美容の意味が大きかった日焼け止めだが、近年は肌の健康を守る手段になりつつある。市場は拡大する可能性があり、開発競争は熱を帯びそうだ。

日刊工業新聞2019年7月23日

  

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