「日韓問題」きょうWTOの議案に 対立は泥沼化に

韓国側代表は水産物禁輸継続を引き出した「WTO専門家」

日本政府の不信感


 1965年の国交正常化以降で「最悪」とされる日韓関係。日本による対韓輸出管理強化を、韓国は「元徴用工問題への経済報復」と受け止め、世界貿易機関(WTO)は韓国の提案を認める形で23、24の両日に一般理事会の議案に取り上げる。日本は対韓輸出した半導体材料で「(韓国側に)不適切な事案があった」(安倍晋三首相)と主張し、8月にも輸出に関する優遇制度「ホワイト国」から韓国を外すことを視野に入れる。泥沼化する日韓対立は長期化が不可避の状況にある。

 安倍首相が指摘する「不適切な事案」について、有識者の間では「韓国が輸入品を北朝鮮やイランに横流しした」との見方がある。真相は明らかでないが、「国際約束をほごにした」(安倍首相)韓国には不信感が募る。

 韓国は輸出管理強化の即時撤廃を求める一方、日本政府が求める元徴用工問題をめぐる仲裁委員会設置に応じない。河野太郎外相が「国際法違反の状態」と批判すれば、韓国政府も「国際法違反はむしろ日本だ」と反論し、平行線が続く。

 輸出依存の韓国経済の現状は厳しい。政策金利を引き下げても、19年の実質成長率はリーマン・ショック後の09年以降で最低の2・2%見通し。ホワイト国から外れればさらに経済は減速。韓国経済界は反日感情より、経済の先行きを憂慮しているようにも映る。

 韓国が構想する半導体材料の国産化や日本のWTO提訴も即効薬ではない。韓国政府は経済減速回避へ局長級協議の開催を求めるが、日本政府は「まずは信頼関係の回復が先決だ」と突き放す。

 通商と歴史問題を包括的に協議し再び「未来志向」の関係を築く道筋は見えてこない。

韓国側代表者は「WTO専門家」


一方、22日の韓国の聯合ニュースによると23日からのWTOの一般理事会に韓国側は産業通商資源部の金勝鎬(キム・スンホ)新通商秩序戦略室長が首席代表として出席する予定だという。WTOでの勤務経験もあり、最近では韓国による福島など8県の水産物禁輸措置を巡るWTOの上訴審で一審の判断を覆し、禁輸措置が妥当とする判断を引き出すことに成功したWTOの通商ルールを熟知した専門家だという。金氏は、日本の措置の不当性を訴え、加盟国の支持を取り付ける考えと見られる。

日刊工業新聞2019年7月22日(政治・経済)に加筆

  

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