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「阪尼(はんあま)」のポテンシャルがばり上がってるやん

城・寺町で地域が活性化
「阪尼(はんあま)」のポテンシャルがばり上がってるやん

観光都市としての誘客が期待される尼崎駅。奈良方面の近鉄電車も乗り入れする

 大阪・神戸間に位置する工業都市、兵庫県尼崎市の阪神電気鉄道・尼崎駅。同駅の南東エリアに今年3月、市の新シンボルが誕生した。“平成最後の城”として再建された尼崎城には2カ月間で約5万4000人が訪れた。駅構内は「(城と人情を掛けた)ジョーのある町尼崎」と掲げるポスターが目立つ。

 阪神電鉄は2018年発表の長期ビジョンで、尼崎を「最重点エリア」と位置付け、尼崎市などと連携し地域活性化に取り組む。観光都市への変貌を狙う尼崎駅周辺に、地元が寄せる期待は大きい。

 阪神電鉄の経営企画室沿線活性化担当の浅野陽一副部長は同駅周辺の特徴を、「若年層は転入超過だが、子育て世代は近隣自治体に流出する傾向にある」と話す。周辺自治体より比較的地価が安いことや交通の便の良さなどから、20代の人口は3年連続で増加している。一方、阪神間の他市に比べ高い空き家率が地域の課題だ。

 尼崎は商店街や工場地帯の町で知られるが、同駅南西部に400年近い歴史を持つ11の寺院が集積する「寺町」も存在する。この地区に目を向け、阪神電鉄と尼崎信用金庫、市民が連携し、地域活性化のワークショップや空き家活用に取り組む「てらまちプロジェクト」も、17年4月から展開中だ。狙いを「参加者同士が地元と関わりを持ち、尼崎に住み続けたいと思ってもらえれば」(浅野副部長)と強調する。

 19年3月、日本語と英語、中国語、韓国語の4カ国語対応の自動車内放送設備が、尼崎駅にも停車する「阪神なんば線」の乗り入れ車両に導入された。なんば線は奈良を結ぶ近畿日本鉄道の車両も相互乗り入れする。城効果も踏まえ、尼崎駅周辺で訪日外国人も取り込めるか注視される。

【概要】阪神本線・阪神なんば線の駅。1日の平均乗降者数は約5万2000人(17年11月時点)。梅田、神戸三宮、甲子園の駅に次いで4番目に多い。
尼崎駅南西部に位置し、地域活性化に取り組む歴史ある「寺町」
日刊工業新聞2019年7月18日

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