「宇宙」から「地方」を起爆する!自治体が挑む宇宙ビジネス

 国際的に盛り上がる民間宇宙ビジネスを地方創生の起爆剤にしようと、複数の自治体が乗り出した。東京都内で開かれた国際会議「スペースタイド2019(SPACETIDE主催)」では、政府の宇宙ビジネス創出推進自治体に選定されている4道県がそろい踏みし、産業振興に向けた苦労や手応えなど、熱を込めて情報を発信した。

 「宇宙は技術開発全体の頂点となって、全体を引っ張る。その拠点が地域にできると人材が集まり、技術者が育つ。その人材が他産業に転出して、転出先の産業を盛り上げる効果がある」。北海道大学大学院の永田晴紀教授は見解を示す。永田教授は1990年代から北海道での宇宙産業育成に関わってきた。

 北海道では地元経済界の後押しもあり、新産業が芽吹きつつある。5月にインターステラテクノロジズ(北海道大樹町)が小型ロケット「MOMO(モモ)」の宇宙までの打ち上げに成功。産業振興機運が高まっている。

 スペースタイド2019は計11のパネル討論会を設けて、その一つ「宇宙ビジネスは地方創生の革新者になれるか」に山口県、北海道、茨城県、福井県の4地域の現場キーマンが登壇した。

 山口県は15年に結成した「山口県航空宇宙クラスター」の事務局が、地域の7社、外部2社のメンバーにより、難燃性マグネシウム、炭素繊維など新素材を用いた軽量化の提案などを紹介した。

 18年から米国の展示会にも出品。さらに補助金制度により小型ロケット空中発射装置の開発など、2件のプロジェクトがスタートした。17年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が一部拠点を開設したのが弾みになったという。

 福井県は地域の産学官金による地域オープンイノベーション組織で、超小型人工衛星の開発に照準を合わせる。15年から東京大学の指導を受けて、地元企業が機体製造を学び、県工業技術センターは、熱真空試験、電波暗室、振動試験、クリーンブースの試験機器を整備。製造受託ビジネスの体制と、100キログラム級の「県民衛星」を20年度上半期に宇宙に送る計画だ。

 一方、後発となる茨城県は4月に宇宙プロジェクト推進室を発足。学研都市・つくばの地の利を生かし、宇宙ビジネスへの参入を後押しする。8月5日には政府と共催する大型イベント「宇宙ビジネスサミット」を開く。

 各地域とも、フットワークの良い中堅・若手を前線に配し、東京での人脈づくり、スタートアップとの連携など、民間宇宙ビジネスに挑む。具体的な果実を生み出せるか。各地の奮闘は続く。

日刊工業新聞2019年7月19日

  

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