航空機エンジンの生産性を6割上げた川重の工場改革

事業規模2倍に

 川崎重工業が西神工場(神戸市西区)で民間航空機用ジェットエンジン部品の生産性改善を加速している。ロボットによる仕上げや、独自の作業管理システムを駆使することで、工数削減や品質安定を実現し、約10年間で生産性を60%引き上げた。世界の民間航空機市場は年率約5%の成長が期待される。川重は限られた生産スペースを最大限活用しつつ、外注の拡大やサプライチェーンの高度化で航空機・エンジンの増産に追随する。(文=神戸・中野恵美子)

事業規模2倍に


 西神工場では現在、米ボーイング787型機に搭載する「トレント1000」向け中圧圧縮機モジュールや、欧エアバスの「A320ネオ」に搭載する「PW1100G―JM」のファンや低圧圧縮機など、主要部品を増産している。

 エンジン事業は航空宇宙システムカンパニーの成長をけん引しており、増産のピークを迎える2025年度には、事業規模が現状比約2倍の3000億円程度に膨らむ見通し。

 90年開設の西神工場は12年に第4工場を完成。周辺の産業用地が限られており、既存スペースでの生産効率向上や、サプライチェーンの強化が課題。工場独自の生産改善活動が成果を上げている。

 タービンディスクや中圧圧縮機ドラムなど回転体を生産する第1工場では、自社製産業用ロボットを用いて仕上げを自動化。さらに切削刃物にセンサーを取り付け、高精度に安定して角部の角面・曲面加工などを施す。従来4時間要していた大型部品のセンシングは、ロボットに置き換えて約30分で完了する。

秒単位で指示


 工場では秒単位で自動的に作業指示し、進捗(しんちょく)をリアルタイムで確認できるシステムを導入した。各部品にバーコードを付け、読み取り機を通じて作業開始や終了時間を自動的に記録。インターネットを介して管理モニターに可視化する。標準時間との差異もグラフ化している。

 内製部品の生産性向上と並行し、外注比率を増やすことで、設備投資を抑えながら増産要請に応えている。

 「回転部品の1次加工など技術が成熟した工程は外注を増やし、西神工場は仕上げや特殊加工に注力する」(三島悦朗航空宇宙システムカンパニーエンジン生産本部長)。

“Kリンク”拡大


 独自のサプライチェーン生産管理プラットフォーム(基盤)「Kリンク」の活用範囲も広げていく。これまで約3年間運用し、インターネットを通じて加工品質や納期を自動的に定期評価する仕組みを構築した。

 今後はさらに情報セキュリティーを高度化し、紙ベースで扱ってきた生産や加工に関する取引情報もデータ化していく。将来はバーコードによる工程管理システムとの連携を視野に入れ、異常発生時の補修など最適な生産計画の策定に役立てる方向だ。主要20―30社が入るサプライチェーンについては「企業数を維持しつつ、加工品質の向上に注力する」(三島本部長)方針。川重から技術者を派遣して生産や品質管理能力を底上げする考えだ。

<関連記事>
新しいソフトウエアが工場の生産管理を変える!

日刊工業新聞2019年7月12日

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。