わかりにくい「住宅ローン」の説明、東大の技術で変える

寄付講座「次世代金融支援システム講座(日本住宅ローン)」を立ち上げた

 東京大学は日本住宅ローン(東京都文京区、安藤直広社長)による寄付講座「次世代金融支援システム講座(日本住宅ローン)」を立ち上げた。仮想現実(VR)や人工知能(AI)などの情報技術を使い、金融業界における顧客対面取引の代替システムで研究と人材育成を行う。同大大学院情報理工学系研究科による世界トップクラスの要素技術を組み合わせ、顧客利便性と事務効率化の実現につなげる。

 開発するシステムのイメージは、在宅の顧客スマートフォンを通して、金融機関の担当者がVRで顧客と対面するというもの。仕組みの複雑な住宅ローンの説明などで、顧客の表情や声をAIが分析し、理解度や感情を読み取りつつ対応するといった具合だ。担当者のミスや態度などバラつきも抑えられる。

 同大が強みとする空中映像・ディスプレー、AIによる応答判断や音声再現、ロボット、ネットワーク、高臨場感などの技術を組み合わせる。概念実証(POC)まで手がけてシステム会社などに技術移転する。期間は2023年6月30日まで4年間。寄付金額は4年間で1億2000万円。1、2人の研究者を雇用する。

 日本住宅ローンは積水ハウスなど5社が出資する個人向け住宅ローン専門の金融機関だ。拠点が東京のみのため、電子署名の導入など技術活用を積極的に進めている。

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寄付講座で手を握る石川正俊情報理工学系研究科長(右)と安藤直広社長

日刊工業新聞2019年7月4日

山本 佳世子

山本 佳世子
07月07日
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「寄付講座」でこのテーマで東大情報理工が取り組むと知り、「なるほど」と感じた。会社側は「我々の業界全体のために、こういった分野で新たな知を生み出してほしい」と幅広い長期的な期待に基づいて資金を寄付する。大学側は寄付の形であるため自由度が高く、学術的な研究も手がけられるのがメリットだ。その意味で同じ産学連携でも、研究資源(研究者含む)を双方で出し合い知財も分け合う「共同研究」とも、1企業のサービスを完成させる「委託研究」とも違う。寄付講座は、大学を社会基盤ととらえた仕組みといえるだろう。

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