物流業界の人手不足対策に空調メーカーが一手

ダイキンや三菱電機がGPS活用

 物流業界が抱える深刻な人手不足問題は、メーカーにとっても対岸の火事ではない。特に家庭用エアコンや業務用空調機器は、夏季や期末など特定の時期に需要が集中するため、繁忙期の配送にかかる負担がひときわ大きい。そんな中、ダイキン工業や三菱電機は全地球測位システム(GPS)による位置データなどを活用し、物流改善に乗り出した。空調機器の需要が堅調なこともあり、物流改善が自社の利益にも直結しつつある。(文=大阪・平岡乾)

ダイキン 到着時間、すぐ回答


 ダイキンは運送業者約30社と連携し、空調機器の配送を見える化するシステム「ダイキン統合配送管理システム(D―TMS)」の運用を2018年4月に開始。運送業者の運転手にかかる負担を軽減し、ダイキン自身も物流業務の工数を1割近く削減した。梅雨が明けると需要が急増する家庭用エアコンの配送コスト負担を緩和しそうだ。

 スマートフォンのGPS機能でトラックの位置を把握し、顧客から到着時間の問い合わせを受ければ即、回答できる。「顧客からは待つストレスがなくなったと評価されている」(皆本篤志物流本部企画担当課長)という。

 物流業界では荷下ろし先の指定時間に、顧客が不在だったり長時間待たされたりするなどの課題がある。D―TMSの配送データを見れば、ドライバーを待たせる傾向にある取引先を把握できる。「届け先に荷受け待ち時間の改善を働きかける際にも、D―TMSの活用を検討したい」(同)とする。

三菱電機 データ収集でルート効率化


 三菱電機は岩出物流センター(和歌山県岩出市)とサプライヤー間の巡回配送(ミルクラン)を対象に、GPSでトラックの移動データを集め、配送ルートの効率化を進めている。18年度は物流量が前年度より1割増えたが、従来と同じトラック14台で対応できた。

 同物流センターは、冷熱システム製作所(和歌山市)が生産している業務用空調や食品流通用の低温機器の物流拠点。GPSのデータがさらに充実すれば、トラックが稼働しない時間を減らしたり、渋滞を考慮して一般道路と高速道路のどちらが効率が良いか検討したりできる期待がある。

 都市再開発が盛んな日本の需要に加え「北米の輸出用も伸びている」(加賀邦彦同製作所所長)ため配送も増える見込み。物流の人手不足問題が売り上げ拡大のボトルネックにならないよう、物流の効率化を進める。

日刊工業新聞2019年6月26日

  

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